2002 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシスシグナルの細胞内クロストークを基盤とした癌治療の基礎研究
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13670785
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
長澤 正之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (90262196)
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Keywords | granulysin / CTL / NK細胞 / 神経芽細胞腫 |
Research Abstract |
年度の計画として細胞免疫を介した抗腫瘍効果の細胞生物学的解析を進める準備としてCTLの系を作成することを目標にしたが、その過程で今回CTLやNK細胞に発現し標的細胞を殺す際に分泌される蛋白質granulysinに関して研究を行なった。この蛋白には蛋白分解により15Kと9Kのアイソフォームがあることが知られていたが共同研究者らとともにこの分泌型蛋白質を認識するモノクローナル抗体を作成しELISA測定法を開発して検討を行なった。フローサイトメトリ法で解析するとgranulysinは一部のT細胞と殆どのNK細胞内に存在することが確認された。T細胞をIL2刺激で活性化しLAK細胞とすると細胞内のgranulysin陽性細胞は増加し、発現は亢進した。細胞培養液中の蛋白を測定すると15Kは検出されるが9Kは殆ど検出されなかった。健常人の血清を測定したところやはり15Kは検出されたが9Kは検出されなかった。NK細胞を標的細胞であるK562細胞と共培養するとkilling活性に比例して培養液中の15Kは増加したが9Kはごくわずか検出されるのみであった。NK細胞に分泌阻害剤を作用させると培養液中の15Kは減少することが示された。リコンビナント9K蛋白に細胞傷害活性があるという他施設の報告を考慮すると、CTL・NX細胞から15K蛋白は恒常的に分泌されているが標的細胞に作用すると15K、9K蛋白質が分泌されるが9Kは血清中の半減期が短く測定されにくいと推察される。以上のことから血清中の15Kは生体のCTL活性の総体を現すとともに短期的な生体内での細胞傷害活性の変動の指標になりうることが推察された。 自然消退をおこす神経芽細胞腫の特殊型であるIVsの患者の血清中granulysinを測定したところ、自然消退に一致して血清granulysinの急激な上昇が確認された。このことから癌のアポトーシス誘導にも関与している可能性が示唆された。
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