2001 Fiscal Year Annual Research Report
Id2欠損マウスでみられる先天的アトピー素因の機序解明とその治療戦略への応用
Project/Area Number |
13670799
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楠 隆 京都大学, 医学研究科, 助手 (00303818)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 義史 福井医科大学, 教授 (50222386)
中畑 龍俊 京都大学, 医学研究科, 教授 (20110744)
|
Keywords | Id2 / IgE / Th1 / Th2 / T細胞 / B細胞 / アトピー / アレルギー |
Research Abstract |
Id2欠損マウスがアトピー素因を呈する機序をより詳細に解析することを目的として、以下の検討を行った。 (1)ナイーブT細胞におけるTh1/Th2への分化誘導 脾細胞よりナイーブT細胞を精製し、Th1及びTh2分化環境で培養後、Th1/Th2の分化の程度を細胞内IFNγ、IL-4のFACS解析により検討した。その結果、Th1、Th2への分化誘導効果にId2欠損マウス、コントロールマウス間の有意差はなかった。 (2)B細胞におけるIgEクラススイッチの解析 脾細胞からB細胞を精製してLPS及びIL-4と共に培養し、以下の検討を行った。(a)培養上清中のIgE、IgGサブクラス産生量:Id2欠損マウスはIgE産生の著明な上昇を認めた。また他のTh2タイプIgであるIgG1産生も有意に亢進していた。Th1タイプIgには著明な差は見られなかった。(b)上記の傾向は細胞表面上IgのFACS解析でも確認された。(c)さらにgermline transcriptionやS-S recombinationの解析でもIgEへのクラススイッチ亢進を認めた。 以上より、Id2欠損マウスにおけるアトピー素因につきT細胞、B細胞両方から解析した結果、T細胞の分化能に内因性の障害はないこと、B細胞のIgEクラススイッチの分子機構に質的な異常があること、が示唆された。今後、T細胞がvivoでTh2へ偏移している要因として抗原提示細胞の機能に影響がないかを検討すること、及びB細胞におけるgermline transcriptionにId2がどのように関わっているかを分子レベルで検討すること、などが進行中である。
|