2001 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞と腫瘍特異的抗原ペプチドを用いた小児悪性腫瘍に対するがん免疫療法の確立
Project/Area Number |
13670815
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松崎 彰信 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90238999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住江 愛子 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (80335968)
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Keywords | がん免疫療法 / 樹状細胞 / 腫瘍特異抗原 / 小児がん / ペプチド抗原 / 融合遺伝子 / 染色体転座 |
Research Abstract |
滑膜肉腫再発例および治療抵抗性Ewing肉腫例に対し本療法を行った。自家末梢血より樹状細胞を分化増殖させ、腫瘍特異的合成ペプチドで樹状細胞を感作し患児に投与することにより、体内での腫瘍特異的細胞傷害性T細胞誘導を確認した。 1.樹状細胞の調製:患者末梢血中または自己末梢血幹細胞移植用に採取した末梢血単核球をGM-CSFおよびIL-4を添加した自己血清加RPMI1640中で培養し、1回あたり3x10^6個の樹状細胞を得た。 2.腫瘍特異的ペプチドの合成:患者の腫瘍組織よりmRNAを抽出し、染色体転座に起因する融合遺伝子(SYT-SSXおよびEWS-FLI-1)の塩基配列を決定し、融合部分を含む腫瘍特異的ペプチドを合成した。 3.樹状細胞の感作と患者への投与:樹状細胞を浮遊させた培養液に合成ペプチドを添加し感作を行った。感作樹状細胞を十分に洗浄し、ただちに皮下投与した。治療は1または2週ごとに外来で行った。 4.治療効果:樹状細胞投与による副反応は全く発現しなかった。滑膜肉腫症例では、肺内の再発腫瘍増大が一過性に抑制され胸水が減少した。治療抵抗性Ewing肉腫も樹状細胞投与により腫瘍縮小が観察された。また、樹状細胞投与後、腫瘍細胞融解物に対する皮膚遅延型過敏反応が増強した。患者末梢血中にはHLA-DR陽性CD8陽性の活性化リンパ球およびインターフェロンγ産生性CD8陽性細胞が増加した。さらに、ペプチドで感作した樹状細胞と共培養したTリンパ球は試験管内で腫瘍細胞を効率よく破壊した。 5.結論:腫瘍特異的合成ペプチドで感作した樹状細胞を患児に投与することにより、体内で腫瘍特異的細胞傷害性T細胞が誘導されることが示唆された。腫瘍抗原ペプチドと樹状細胞を用いるがん免疫療法は、化学療法・放射線療法に抵抗性となった腫瘍に対する新たな治療法として有望である。
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Research Products
(1 results)