2002 Fiscal Year Annual Research Report
22q11.2欠失症候群の原因遺伝子と欠失メカニズムの解明
Project/Area Number |
13670844
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
松岡 瑠美子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (50120051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 伸一郎 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00176497)
中澤 誠 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10075567)
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Keywords | 22q11.2欠失症候群 / TBX1遺伝子 / 血少板減少 / 統合失調症 / GPIb-β遺伝子 / FISH法 / 22番染色体低頻度反復配列 / リンパ球幼若化能 |
Research Abstract |
目的:本研究では、最近報告された染色体22番のヒトゲノム解析により決定された遺伝子情報を基に、多様な表現型、遺伝的異質性をもつ22q11.2欠失症候群の発症に主に関わる原因遺伝子の同定と機能解析を様々な角度から検討し、さらになぜ5,000人に1人もの頻度で染色体上の同じ部位で欠失が生じるのか、その欠失機構を詳細に検討することにより、本症候群の成因、および発症のメカニズムの全容解明を目的とした。 研究実施計画:本症候群の表現型を呈する症例で、染色体22q11.2欠失領域の欠失が認められなかった症例を用いて疾患候補遺伝子であるTBX1遺伝子の遺伝子解析を行った。本症候群における血少板減少例と統合失調症例に関して詳細な臨床経過の検討に加え、表現型と遺伝子型の検討を行うため、本症候群17例における血少板膜蛋白GP1bβの発現量をウエスタンブロッティング法にて解析した。また、血小板数ならびにT細胞数とリンパ球幼若化能の両者を掛け合わせた総免疫力と患者の臨床経過を比較検討した。患者50例について、22番染色体低頻度反復配列(LCR22)内の相対的位置関係や部分欠失の有無、逆位の有無などの検討を多色ファイバーFISH法を用い行った。 結果:世界で初めて、本症候群の発症に主に関わる遺伝子がTBX1遺伝子であることを確認した。本症候群では、血小板減少を来した症例が多いが、その成因はGPIb-β遺伝子の半接合体部分欠失による発現量の低下が影響していることが示唆された。また、統合失調症を中心とした精神疾患の発症は成人期で多く、発症に先行して、血小板減少症とT細胞の数の減少、リンパ球幼若化能の低下が認められることより、これらのパラメーターは臨床的予後の予知に極めて重要であることが確認された。FISH法による欠失範囲の解析の結果、3Mbの欠失範囲のテロメア側の切断点は、今までわかっていた欠失範囲より更にテロメア側に約400kb広く、LCR22-4内に存在することが明らかになった。今後、遺伝子変異の認められたTBX1の機能異常を検討し、本症候群の発症メカニズムの解明および遺伝子異常の認められなかった本症候群について、新たな疾患候補遺伝子の検討が重要と思われた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kato T: "Thrombocytopenia in patients with deletion 22q11.2 syndrome and its association with glycoprotein Ib-β"Genet Med. (in press).
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[Publications] 古谷喜幸: "22q11.2欠失症候群における欠失範囲の検索"東京女子医科大学雑誌. 72. 108-116 (2002)
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[Publications] 松岡瑠美子: "「22q11.2欠失を伴う先天性心疾患児における免疫能の検討」の重要性"日本小児循環器学会雑誌. 18. 9-12 (2002)
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[Publications] 松岡瑠美子: "南山堂医学大辞典:DiGeorge症候群"南山堂(印刷中).