2002 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子GATA-3によるケラチノサイトの発生、増殖、分化制御の解析
Project/Area Number |
13670865
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川内 康弘 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (00272196)
|
Keywords | GATA-3 / 表皮 / ロリクリン |
Research Abstract |
表皮の有棘疎層上層・顆粒層から角層にかけて特異的に発現するロリクリンの組織特異的発現・分化特異的発現を規定する因子をロリクリン遺伝子転写調節領域の欠失変異体及び点突然変異体を用いて解析したところ、TATA-boxの20〜30bp上流に存在するAP-1結合領域とSp1/3結合領域が協調してロリクリンの組織特異的発現・分化特異的発現を制御していることが明らかとなった。すなわち、分化した角化細胞ではAP-1構成分子の内fosとSp1が相互作用してロリクリンの転写をドライヴするのに対し、未分化角化細胞ではfos/Sp1ではなくjun/Sp3が相互作用し、ロリクリンの転写を抑制していると考えられた。このAP-1-Sp1/3複合体にGATA3がどのように関与するかをGATA3とAP-1、Sp1を同時に強発現するルシフェラーゼ・アッセイにより解析したところ、GATA3とfos、Sp1は相乗的にロリクリンの転写をドライヴすることが明らかとなった。すなわちGATA3とfos、Sp1の間には機能的相互作用が存在すると考えられた。さらに、GATA3とAP-1、Sp1の物理的結合性をGST-pull down assayにて解析したところ、GATA3、fos、jun、Sp1、Sp3は各々物理的に結合し得ることがわかった。すなわちGATA3と fos、Sp1の機能的相互作用(相乗作用)は、これらの因子の物理的結合性に基づくものである。以上を総合すると、未分化角化細胞(表皮基底層)では、ロリクリン遺伝子転写調節領域にjun/Sp3が作用してロリクリンの転写を抑制しているが、分化角化細胞(表皮顆粒層)では、ロリクリン遺伝子転写調節領域にはfos/Sp1/GATA3が複合体を形成して作用し、ロリクリンの転写をドライブするモデルが提示される。このモデルは、普遍的転写因子であるAP-1やSp1/3に組織特特異的転写因子が関与して、ロリクリンという非常に組織特異性の高い遺伝子の発現を制御している点で非常にユニークなモデルである。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Kotsuji T.Kawachi Y et al.: "PDGF-BB induces MAP kinase phosphorylation and VEGF expression in neurofibroma-derived cultured cells from patients with NF-1"Journal of Dermatology. 29. 713-717 (2002)
-
[Publications] Kawachi Y et al.: "Expression of angiogenic factors in neurofibromas"Experiental Dermatology. 11. 1-6 (2003)