2002 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚老化予防のための紫外線性DNA損傷修復因子の適用に関する基礎的研究
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13670877
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
森脇 真一 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助教授 (40303565)
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Keywords | 光老化 / DNA修復 / 紫外線 / DNA損傷 / ヌクレオチド除去修復 |
Research Abstract |
昨年度は、様々な年齢のヒト皮膚より樹立した初代培養線維芽細胞株を用いて紫外線性DNA損傷の修復能が加齢により低下するることを、宿主細胞回復法(HCR) および紫外線性DNA損傷に特異的なモノクローナル抗体を用いたELISA法の2つの方法により確認した。さらに競合的PCR法(ATAC-PCR法)により、紫外線性DNA損傷の主要な修復機構であるヌクレオチド除去修復(NER)に関わる既知の因子のうちの約20種について、幼児および高齢者由来のヒト皮膚線維芽細胞における定常状態での遺伝子発現を網羅的に比較検討し、老齢者ではNERの後期の過程に機能低下が認められる可能性を示唆する結果を得た。今回、ATAC-PCRで加齢により発現の現象が認められた因子について、同様の方法で他の細胞株を用いて確認し、さらにそれをRNase Protection Assay、Northern法により解析した。その結果、高齢者由来の細胞ではDNAの損傷認識から損傷除去までに働く因子(hHR23B,RPA)が中等度に低下し,RFC1、RFC4,DNA polymerase δ1,δ2およびε2などのNERの修復合成に関わる因子の発現が著名に低下していた。一方、DNA合成能は若齢細胞、老齢細胞両間で差がみられなかった。 以上の所見から、ヒト皮膚において紫外線性DNA損傷の修復能力は加齢に伴い低下しており、その原因としては主としてNERの後期過程に関わる因子の著名な発現現象がもたらす修復合成の遅延であることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Negishi I, Kato G, Moriwaki S, Ishikawa O: "Compound heterozygosity for the xeroderma pigmentosum complementation group A gene associated with a mild phenotype"Eur J Dermatol.. 12. 536-539 (2002)
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[Publications] Tokura Y, Seo N, Tomida M, Sarukawa M, Hashizume H, Takigawa M, Moriwaki S: "Augmentation of monocyte interleukin-8 production by psoralen/UVA-treated CD4+ T cells"Exp Dermatol. 11. 564-572 (2002)
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[Publications] Yagi S, Iwanaga T, Kojima H, Shoji Y, suzuki S, Seno K, Mori H, Tokura Y, Takigawa M, Moriwaki S: "UV dose measurements of photosensitive dermatosis patients by polycrystalline GaN-based portable self-data-aqcuisition UV monitor"Photochemistry and Photobiology. 76(6). 669-671 (2002)
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[Publications] 森脇真一: "色素性乾皮症"皮膚疾患最新の治療2003-2004(南江堂). 77 (2002)
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[Publications] 森脇真一: "光線過敏症 放射線による皮膚障害"エキスパートナーシング. 131-135,136-138 (2002)
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[Publications] 森脇真一: "色素性乾皮症"今日の小児治療指針(医学書院). (印刷中).