2002 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタノイド受容体の皮膚における生理的、病理的役割の解析
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13670881
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Research Institution | Kurashiki Sakuyo University |
Principal Investigator |
井階 幸一 くらしき作陽大学, 食文化学部・栄養学科, 教授 (00135568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 健造 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80291425)
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Keywords | 皮膚 / 毛周期 / プロスタノイド受容体 / PGH2合成酵素 / プロスタノイド受容体欠損マウス |
Research Abstract |
本研究ではマウス皮膚とくに毛の生理におけるPGE2の作用を検討する目的でNorthern blotおよびin situ hybridization法によりPGE受容体サブタイプ(EP1,EP2,EP3,EP4)およびPGH2合成酵素(COX-1,COX-2)の発現を解析した。また、EP3,EP4受容体についてはそれらの遺伝子欠損マウスでの解析も合わせ行った。胎児期、3週齢、9週齢のマウス皮膚をin situ hybridization法にて解析した結果、胎児期皮膚ではEP1およびEP2の発現は見られなかったが、EP3は線維芽細胞に、EP4は毛嚢上皮細胞にそれぞれ発現が強く認められた。成長期にある毛が多い3週齢マウス皮膚でも胎児と同様の発現がみられ、とくにEP3は毛乳頭を含む毛包周囲の線維芽細胞に、EP4は毛根部の外毛根鞘にその発現が認められた。また、休止期にある毛が多い9週齢マウスではそのような発現はみられなかった。一方、7週齢マウス背部の毛の脱毛後12および18日目の皮膚では、COX-2の発現が毛包の一部にみられ、COX-2の発現が毛周期のある限られた時期にのみ発現していることが示唆された。COX-1は表皮角化細胞のその発現が認められ、毛周期に依存しないように思われた。EP3およびEP4の発現は、出生期を含む毛包成長期に特異的にみられ、EP4の発現は毛周期(ヘァサイクル)の間で変動することが分かった。また、EP4受容体欠損マウスでは、脱毛後の毛の伸長が遅延する傾向が認められた。このことよりこれらのプロスタノイド受容体のサブタイプを介して毛の成長制御機能が推定された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Torii A, Takahashi K, Ikai K, Ichikawa A, et al.: "Expression of prostaglandin E2 receptor subtypes in mouse hair follicles"Biochem Biophys Res Commun. 290・2. 696-700 (2002)
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[Publications] Bousquet A, Takahashi T, et al.: "The Non-Helical Tail Domain of Keratin 14 Promotes Filament Bundling and Enhances the Mechanical Properties of Keratin Intermediate Filaments in Vitro"J Cell Biol. 155・5. 739-746 (2001)
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[Publications] Tanioka M, Takahashi K, et al.: "Angiosarcoma of the scalp : absence of vascular endothelial cadherin in primary and metastatic lesions"Brit J Dermatol. 144・2. 380-383 (2001)
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[Publications] 井階幸一: "扁平苔癬による紅皮症.『最新皮膚科学大系、第3巻』玉置邦彦(編)"中山書店、東京. 165-166 (2002)