2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670898
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
狩野 葉子 杏林大学, 医学部, 助教授 (20142416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺木 祐一 杏林大学, 医学部, 講師 (10188667)
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Keywords | DIHS / 重症薬疹 / CD8^+T細胞 / ウイルス / リンパ球刺激実験 / IgM / IL-15Rβ |
Research Abstract |
前年度の研究においてdrug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS)患者では、発症初期にCD19^+B細胞、CD56^+NK細胞が著明に減少していることを明らかにし、その減少がhuman herpesvirus 6(HHV-6)の再活性化につながる可能性を示した。本年度の研究ではDIHS患者の末梢血リンパ球を用いて、原因薬剤に対する様々な細胞分画の活性化の過程を明らかにすることにより、ウイルスの再活性化の関与するような薬剤アレルギーにおける新たなin vitroの検査法の確立につなげたいと考えた。 1.DIHS患者では薬剤添加リンパ球刺激試験(DLST)が、発症初期には陰性となるのに対し、臨床症状の回復後には陽性となり、1年後でもその陽性反応が維持されることが明らかとなった。発症初期に見られるDLSTの陰性は、B細胞の著明な低下と密接に関係していた。 2.DIHS患者末梢血リンパ球(PBMC)を原因薬剤とともに培養した際にまず起こる変化はCD4^+T細部の活性化であり、それに引き続きCD8^+T細胞の活性化、ついで増殖反応が生じた。このような薬剤特異的な増殖反応は、正常人コントロールでは全く認められなかった。 3.DIHS患者PBMCは原因薬剤の添加によりT細胞の増殖だけでなく、著明なIgM産生を認めることが明らかとなった。同一薬剤によるIgM産生は正常人コントロールでは全く認められなかった。 4.DIHS患者NK細胞は回復後もCD122(IL-15Rβ)発現が著明に低下しており、IL-15による活性化を極めて受けにくくなっていることが判明した。このNK細胞の異常が、代償性のCD8の活性化をもたらし、薬疹の発症に結びつくと考えられた。 5.DLSTにおける増殖反応は、CD4,8^+T細胞だけでなくNK細胞、B細胞も関与する複雑な反応であり、その各々の分画の活性化を増殖反応だけでなくCD69発現及びblast化の程度で測定することにより、より特異性の高い再現性に優れた検査法になりうると考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 順毛直弥, 他: "ベザフィブラートによる薬疹の1例"臨床皮膚科. 56・3. 210-213 (2002)
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[Publications] 狩野葉子: "フルオレセイン注射後急激に出現した蕁麻疹"Visual Dermatology. 1・3. 250-251 (2002)
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[Publications] 狩野葉子: "正中菱形舌炎を思わせたメキシレチンによる薬疹"Visual Dermatology. 1・3. 268-269 (2002)
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[Publications] 狩野葉子: "薬疹とウイルス"日本臨床皮膚科学会雑誌. 73・7. 191-195 (2002)
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[Publications] 狩野葉子: "薬剤性肝障害後に軽快した乾癬性紅皮症"Visual Dermatology. 1・8. 524-525 (2002)
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[Publications] 堀田隆之, 他: "フロモキセフナトリウムによるAcute Generalized Exanthematous Pustulosisの1例:発症における溶連菌関与も可能性"皮膚科の臨床. 44・12. 1405-1409 (2002)
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[Publications] 狩野葉子(分担執筆): "皮膚疾患のとらえかた 眼でみるベッドサイドの病態生理"文光堂. 331 (2002)