2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト毛嚢特異的ペプチジルアルギニンデイミナーゼの構造と生理機能の解明
Project/Area Number |
13670904
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
川田 暁 近畿大学, 医学部, 助教授 (90160986)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 英成 近畿大学, 農学部, 教授 (30122063)
手塚 正 近畿大学, 医学部, 教授 (20013964)
荒金 兆典 近畿大学, 医学部, 講師 (40232045)
|
Keywords | ペプチジルアルギニンデイミナーゼ / ヒト毛細胞 / PAD T4 / モノクローナル抗体 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
本年度はヒト毛嚢特異的peptidylarginine deiminase(以下PAD T4と略す)の生理機能を明らかにするため、PAD T4の毛細胞での局在性を明らかにした。使用する抗体の条件として、アイソフォーム特異的な抗体であること、解析対象となる組織内タンパク質に対して交差性を示さないことが必須である。そのため、PAD T4に対して特異性の高いモノクローナル抗体を作製した。免疫法は、ラットの足蹠に抗原を接種し、リンパ節をB細胞の起源とするラットリンパ節法を用いた。抗体価の上昇したラットよりB細胞を調製して、FOX-NYとPEGにより融合させハイブリドーマを得た。ハイブリドーマ細胞はELISA法によりスクリーニングを行い、陽性細胞集団を限界希釈法により単クローン化したところ、1種類の抗PAD T4抗体分泌ハイブリドーマ細胞(以下B4E2Bと称する)を得ることができた。ついで、B4E2B抗体を用いヒト頭皮の組織切片の蛍光免疫染色を行った。非処理切片の免疫染色では蛍光反応が検出されなかったのに対し、B4E2B抗体を用いた組織切片上には蛍光反応が内毛根鞘および外毛根鞘の両方に検出された。さらにPAD T4の正確な局在部位と内毛根鞘と外毛根鞘に発現しているタンパク質との共局在性を同定するために、B4E2B抗体とトリコヒアリン(内毛根鞘局在タンパク質)あるいはケラチン14(外毛根鞘局在タンパク質)抗体の組み合わせの2重染色を行った。それぞれトリコヒアリンは内毛根鞘及び毛髄に、ケラチン14は外毛根鞘のみに局在していることが確認され、PAD T4のこれらの組織での共局在性を裏付けることができた。以上の結果は、PAD T4の毛細胞での特異的発現を明確にした初めての成果であり、本酵素が毛細胞分化において内毛根鞘ではトリコヒアリンを標的として、また内毛根鞘ではケラチンを標的としてこれらのダイナミックス変換に機能している可能性を示唆している。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] S.Chavanas, M.C.Mechin, H.Takahara, K.Kawada, R.Nachat, G.Serre, M.Simon: "Comparative analysis of the mouse and human peptidylarginine deiminase(PADI)clusters reveals high conserved non-coding"Gene. 印刷中.