2002 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線治療のための患者体内3次元照射線量分布及び飛程分布計算法の研究
Project/Area Number |
13670912
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安岡 聖 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (50200499)
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Keywords | 陽子線治療 / 線量分布計算 / 飛程分布 / モンテカルロシミュレーション / 2光子事象 / GEANT / BGO |
Research Abstract |
実際の患者治療データに基づいた治療照射シミュレーションを実施し、治療計画への実用可能性を計算時間の観点から検討し、二次散乱粒子による影響のモデル化、線量分布の関数化の可能性を検討する。患者の体構造はボクセルと呼ばれる小立方体(又は小直方体)の集合として取り扱う。シミュレーションで必要な各ボクセルの物理的性質はそれぞれの原子番号、原子質量及び密度で、各ボクセルの有効原子番号、有効原子質量、及び有効密度は患者診断時に撮影されたCT値との関係から決定できる。CT値に対する有効原子番号、有効原子質量、及び有効密度はファントムによるデータ^<5)>を使用して較正し、関数化した。CT装置で得られた患者のCT画像は、体軸方向に5mm幅で体をスライスした形で撮影され、各スライスは320×320個の5mm(スライス方向)×1mm×1mmボクセルで構成される。患者コリメータとボーラスと共に、患者の体構造を治療計画に示された位置にシミュレーションコード中で構築する。GEANTによる陽子線照射のモンテカルロシミュレーションに対して、1)1陽子が通過するボクセル毎に1回だけエネルギー付与値と運動学的パラメータ値を計算、2)患者ボーラス直前の位置で、リッジフィルター及び発生陽子エネルギー毎に、陽子のみの空間的及び運動学的分布をテーブルとして作成、3)一次陽子及び二次陽子による各ボクセルに付与するエネルギー計算に、拡大深部線量分布関数を使用、以上の3点を付加したモデルを開発、導入した場合、250MeV、半径7cm円の照射野横断面積、1スライス(5mm)×2mmのボクセル断面当り1%の精度、1台の計算機を使用、の条件下での患者体内線量分布の計算時間は1-2時間である。モンテカルロ計算の独立性を利用すると、n台のPCワークステーションによる並列計算は計算時間を1/nにする。クラスター化することで、容易に結果を編集し統計をn倍にできる。数台の計算機の導入で現実的な治療計画にモンテカルロ法を使用することが可能であると考える。
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