2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経疾患におけるシグマレセプター機能解析のためのインビボ核医学診断剤の開発
Project/Area Number |
13670972
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
大桃 善朗 大阪薬科大学, 薬学部, 助教授 (70183241)
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Keywords | シグマレセプター / 脳神経疾患 / 放射性医薬品 / 核医学診断 / 画像診断 / SPECT |
Research Abstract |
近年、脳腫瘍を含む様々な腫瘍細胞でシグマレセプターの過剰な発現が確認されており、悪性腫瘍の診断ならびに治療の新たな標的として注目されている。これまでの研究で、新規に開発した放射性ヨウ素標識o-BON([^<125>I]o-BON)が、シグマレセプターに特異的かつ定量的な画像を与える新規シグマレセプター機能診断薬剤として有望であることを示してきた。さらに、[^<125>I]o-BONの癌細胞への集積量は、シグマレセプターの発現量及び腫瘍の増殖能と高い相関性を示し、[^<125>I]o-BONは悪性腫瘍診断用放射性画像診断薬剤としても期待されることを示してきた。 本年度の研究では、[^<125>I]o-BONの腫瘍細胞に対する特性を詳しく検討し、[^<125>I]o-BONが腫瘍細胞成長抑制作用を持つことを見出した。本作用はシグマアゴニスト特有の作用であり、特に、o-BONの作用は、他のシグマリガンドに比較して強力であった。また、その作用機構は、o-BONによりまず細胞内カルシウムの放出が起こり、次いで細胞破壊によるLDHの放出、最終的にDNAの断片化が引き起こされるアポトーシス誘発作用に起因するものであることを見出した。 以上の結果、放射性ヨウ素標識o-BONは、腫瘍の形態学的並びに悪性度診断に優れた画像診断薬剤となりうるだけでなく、さらに、標識する放射性ヨウ素の選択により内部照射による放射線治療効果と、アポトーシス誘発作用の両面を合わせ持つ腫瘍成長抑制剤としての可能性を持つことが明らかとなった。
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