2001 Fiscal Year Annual Research Report
非定型抗精神病薬の作用機序に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
13670978
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久住 一郎 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (30250426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 義人 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (90301902)
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Keywords | 非定型抗精神病薬 / citalopram / methamphetamine / ドパミンD_2受容体 / D_2 mRNA / 遺伝子転写速度 |
Research Abstract |
われわれはこれまで、慢性のhaloperidol投与によって生じるラット線条体ドパミンD_2受容体数のup-regulationが選択的セロトニン(5-HT)再取り込み阻害薬(SSRI)であるcitalopramの併用投与によって増強され、5-HT_2受容体拮抗薬ritanserinの併用投与によって阻害されることを報告し、非定型抗精神病薬の作用機序として、5-HTの制御が密接に関わっていることを想定してきた。また、citalopramの急性ならびに慢性投与によって、線条体D_2受容体数、D_2mRNA量、D_2受容体遺伝子転写速度は有意に増加することを報告し、このcitalopramのD_2受容体遺伝子発現に対する影響は、5-HTを介したものであることを示した。 今年度は、citalopramがmethamphetamine誘発性の移所運動量に対してどのような影響を及ぼすかを検討した。Citalopram 10mg/kgの急性投与は、methamphetamine 1mg/kg誘発性の移所運動量増加を有意に増強した。この増強は、citalopram投与24時間後まで観察されたが、7日後には認められなかった。一方、citalopramの投与によって、脳内methamphetamine濃度も有意に増加したが、この増加は7日後も観察された。従って、citalopramによる移所運動量の増強は、必ずしもmethamphetamine濃度の増加によるものだけではなく、ドパミンD_2受容体遺伝子発現の増加も関連していると考えられた。 来年度は、非定型抗精神病薬とSSRIの慢性併用投与による各種ドパミン受容体(D_1、D_2、D_3)ならびに5-HT_<2A>受容体数、mRNA量への影響を中心に検討する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kameda K.: "Effects of acute citalopram treatment on the methamphetamine-induced locomotor activity"Prog Neuro-Psychopharmacol & Biol Psychiat. 25. 1583-1595 (2001)
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[Publications] Kameda K.: "Effects of lithium on dopamine D2 receptor expression in the rat striatum"J Neural Transm. 108. 321-334 (2001)
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[Publications] 久住一郎: "非定型抗精神病薬"Schizophrenia Practice. 1. 1-14 (2001)
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[Publications] 久住一郎: "新規非定型抗精神病薬の薬理学的特性"Schizophrenia Frontier. 2. 223-228 (2001)