2001 Fiscal Year Annual Research Report
その他の広汎性発達障害の疾病分類学的及び診断学的研究
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13670983
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗田 広 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30010466)
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Keywords | atypical autism / autistic disorder / Asperger's disorder / pervasive developmental disorders(PDD) / PDD not otherwise specified(PDDNOS) / diagnosis / child psychiatry |
Research Abstract |
ICD-10の非定型自閉症(atypical autism : AA)児87人(平均月齢=55.0, SD=13.7;男75,女12)と小児自閉症(childhood autism : CA)児33人(平均月齢=57.9, SD=15.0;男26,女7)(月齢に有意差なし)で、早期発達、全訂版田中ビネー知能検査IQ、小児自閉症評定尺度東京版(CARS-TV)総得点と15項目得点、けいれん発作などを比較した。両群で、性比、出生時体重、歩行開始月齢、初語月齢に有意差はなかった。測定されたIQは、AA群63人(M=58.1, SD=16.6)でCA群16人(M=41.4, SD=13.2)より有意に高く(t(77)=3.75, P<0.001)、IQ未測定例は臨床的に遅滞水準が判定され、全例が、IQ70以上、軽度遅滞(70>IQ≧50)、中度遅滞(50>IQ≧35)および重度遅滞(35>IQ)に分類されたが、AA群がCA群よりも有意に遅滞が軽かった(U-test, p<0.001)。CARS-TV総得点は、AA群87人(M=29.2, SD=2.7)でCA群33人(M=31.9, SD=2.8)より有意に低かった(t(118)=4.93, p<0.001)。項目得点は、分離不安などに関する第10項目と知的機能不均衡に関する第14項目で両群に有意差なく、近接受容器の反応性に関する第9項目と非言語的コミュニケーションに関する第12項目でCA群の得点が高い傾向があったが、他11項目はCA群が有意に高得点であった。有意味語消失は、AA群(14.9%)でCA群(33.3%)より有意に少なく(Fisher's test, p<0.05)、てんかん発作の比率は、AA群(1.1%)とCA群(3.0%)で有意差はなかった、非定型自閉症は、自閉症より自閉症状が軽く精神発達が良好と思われるが、今後、多数例の追跡による検討が必要である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 井筒節, 長田洋和, 立森久照, 長沼洋一, 加藤星花, 堤敦朗, 栗田広, 太田昌孝: "広汎性発達障害の診断補助尺度としての小児行動質問表改訂版(CBQ-R)の有用性に関する研究"臨床精神医学. 30. 525-532 (2001)
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[Publications] 栗田広: "広汎性発達障害"小児科. 42. 1927-1932 (2001)
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[Publications] 長田洋和, 浦田泰平, 立森久照, 長沼洋一, 栗田広: "東京小児発達スケジュール(TCDS)の広汎性発達障害の鑑別尺度としての有用性の検討"臨床精神医学. 31. 191-197 (2002)
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[Publications] 栗田広, 立森久照, 長田洋和: "AD/HDと高機能PDD"精神科治療学. 17. 149-154 (2002)