2004 Fiscal Year Annual Research Report
その他の広汎性発達障害の疾病分類学的及び診断学的研究
Project/Area Number |
13670983
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗田 広 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30010466)
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Keywords | atypical autism / child psychiatry / head circumference / pervasive developmental disorder(PDD) / PDP not otherwise specified(PDDNOS) |
Research Abstract |
小児自閉症(childhood autism:CA)患児では、健常対照児に比べて頭囲の大きいことが知られてきており、大頭macrocephaly(頭囲>97percentile)の出現率は、9.5%〜42%と報告され、CAの重要な生物学的特徴とされている。また異論はあるものの、CA児で頭囲が拡大するのは幼児期であり、その後、徐々にそれは減速し、成人になると対照群と差異が少なくなるという見解が有力である。しかしCAを中心とする広汎性発達障害(PDD)の多数を占める非定型自閉症(atypical autism:AA)(または特定不能のPDD:PDDNOS)の頭囲については、これまでまだ検討がなされていない。本研究では、ICD-10の診断基準に合致するAA児143人(初診時平均年齢=5.7歳,SD=3.0;男119,女24)とCA児95人(初診時平均年齢=6.5歳,SD=3.4;男81,女14)の母親の了解を得て母子健康手帳に記載されている出生時頭囲を性別に比較した。AA群とCA群の両診断群において、出生時頭囲は出生時身長を統制すると女児で男児よりも有意に大きかった。しかし、男女別に両診断群間で出生時頭囲を比較すると有意差は認められなかった。両診断群ごとにも全体をまとめても性別に見て、出生時頭囲は遅滞水準とは有意の関連はなかった。また大頭と小頭microcephaly(頭囲<3percentile)の出現率は、診断群間でも性別でも有意差は認められなかった。AA児でもCA児でも女児で男児より相対的に出生時頭囲の大きいことの理由は、現段階では不明である。しかしAA児でもCA児と同様に頭囲が大きい傾向がある可能性があり、大頭はPDD一般にありうる生物学的特徴として、今後、その経年的変化をPDD下位群ごとに性別に検討していく意義がある。
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Research Products
(4 results)