2004 Fiscal Year Annual Research Report
パニック障害患者の側頭葉における機能・形態異常について:EEG,f-MRI及びVolmetric MRIを用いた検討
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13670992
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
塩入 俊樹 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40235487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細木 俊宏 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (00313544)
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Keywords | パニック障害 / 自律神経機能 / 血圧反射 / マイヤー波 / 映像刺激 / 瞳孔対光反射 / IH-MRS / 側頭葉 |
Research Abstract |
1 パニック障害(以下、PD)の自律神経機能の異常 (1)血圧反射(baroreflex)の機能異常:ρmaxを用いた検討 心拍数と血圧値の2変数間の関係性に着目することで、血圧変動から心拍変動までの相互相関係数の最大値であるρmaxの経時的変化を、ビデオ映像負荷刺激時に計測し、PD患者のbaroreflex(圧反射)について検討した。その結果、ビデオ映像等の精神的負荷かけると、PD患者群では、ρmaxの経時的変化が正常被験者に比して有意に遅れることが判明した。今回の患者群が完全寛解であったことを考えると、PDでは臨床症状の寛解時においても、自律神経系調節が弱いものと推測され、これらの機能異常がPDでの再発率の高さと関連している可能性がある。 (2)血圧反射(baroreflex)の機能異常:τ(lag time)を用いた検討 (1)では、baraoreflexの調節異常について、患者群が正常被験者群と比し、反応が遅れることが判明したので、新しい指標τ(lag time)を用いて、映像負荷前後の安静時におけるbaraoreflexの機能を調べた。尚、τについては、交感神経優位とされるマイヤー波成分を抽出して検討した。その結果、PD患者群ではτか有意に短いことがわかった。このことは、PD患者ではbaraoreflexに異常があり、それは交感神経系の機能障害の可能性があることが判明した。 (3)瞳孔対光反射の機能異常 瞳孔は自律神経系の機能をみるには格好の臓器とされている。しかしながら、これまでPDなどの不安障害患者の瞳孔機能について調べた報告はない。そこで、電子瞳孔計を用いて、映像負荷前後の安静時における瞳孔対光反射の機能を調べた。その結果、PD患者の瞳孔では、ビデオ映像という精神的負荷を与えることで、正常被験者と比べて副交感系の機能異常が生じている可能性があることが判明した。 2 PDの側頭葉異常 PDのGABA仮説に基づき、超高磁場(3T)MRI装置を用いた1H-MRSを施行し、前頭葉・後頭葉及び左右側頭葉の4部位におけるGABA及びglutamine/glutamate(Glx)の測定を試みた。その結果、PD患者群5名では、正常被験者6名と比し、左側頭葉でGABAおよびGlxのピークが上昇していた(それぞれp<0.06,p<0.03)。この所見はpreliminaryなものであるが、PDの側頭葉における神経伝達物質の異常をin vivoで示した最初のものである。
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Research Products
(3 results)