2002 Fiscal Year Annual Research Report
躁うつ病の連鎖領域におけるTRPC7についての位置的候補遺伝子アプローチ研究
Project/Area Number |
13670997
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Research Institution | University of Yamanashi Faculty of Medicine |
Principal Investigator |
塩江 邦彦 山梨大学, 医学部, 講師 (90215939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 学 山梨大学, 医学部, 助手 (30273048)
平野 雅己 山梨大学, 医学部, 講師 (80228808)
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Keywords | 双極性障害 / 候補遺伝子 / TRPC7 / LTRPC2 / TRPM2 / カルシウムチャネル / SSCP |
Research Abstract |
現在までの連鎖研究により双極性障害において複数のグループから一致した報告のある染色体領域は21番の長腕22.3にあるマーカーPFKLからD21S171である。我々はこのPFKL近傍にあるカルシウムチャネルタンパク遺伝子TRPC7(LTRPC2,TRPM2)が双極性障害の感受性遺伝子である可能性について検討した。 TRPC7遺伝子は90kbにわたり32のエキソンがあり、1503アミノ酸残基により構成される。相同性検索からtransient receptor potential蛋白(trp)ファミリーに属すると考えられる。TRPC7には7回の膜貫通領域が存在することから、trpとしてCa2+チャネルを形成していると考えられる。ごく最近になってTRPC7AがADP-riboseやH_2O_2などの酸化ストレスで開く全く新しいカチオンチャネルであることが解明された。このことは虚血などでの神経細胞死をもたらし、神経系の可塑性にも関与していると考えられ、きわめて本質的な機能を有する新たなカルシウムチャネルと思われる。気分障害患者にカルシウム動員の異常が認められ、その治療薬がカルシウム動員に調整的に働くことは明らかにされている。 このTRPC7について、双極性障害患者40名においてSSCP法による変異スクリーニングを行なった。その結果、複数の1塩基多型を同定した。1つは翻訳領域の多型(Exon 11)はアスパラギン酸からグルタミン酸にアミノ酸の変化を伴うミスセンス変異であった。確認された多型については、双極性患者群(DSM-IV診断による)92名(男性43名、女性49名、平均年齢:45.8±12.4)と年齢と性を一致させた健康成人での頻度を比較した。 本研究の結果からは我々が見いだした多型については双極性障害との関連は認められなかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yutaka Ono: "Dimensions of temperament as vulnerability factors in depression"Molecular Psychiatiy. 7・9. 948-953 (2002)
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[Publications] Junko Ando: "Genetic structure of Cloninger's seven-factor model temperament and character in the Japanese population"Journal of Personality. 70・5. 583-609 (2002)
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[Publications] Kunihiko Shioe: "No association between genotype of the promoter region of transporter gene and serotonin transporter binding in human brain measured by PET"SYNAPSE. 48(In press). (2003)
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[Publications] 塩江邦彦: "治療計画(双極性障害):入院治療"精神科治療学. 17(増). 73-83 (2002)
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[Publications] 塩江邦彦: "うつ病治療のアルゴリズム"Phama Medica. 20・3. 67-75 (2002)
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[Publications] 塩江邦彦: "抗うつ薬以外の薬物によるうつ病の治療"こころの科学. 97・5. 48-53 (2001)
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[Publications] 塩江邦彦: "強迫性障害 今日の治療指針2002年版(Volume 44)"医学書院. 1527 (2002)