2001 Fiscal Year Annual Research Report
LORETA解析を用いた精神分裂病の言語情報処理異常の検討
Project/Area Number |
13671021
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
外間 宏人 琉球大学, 医学部, 助手 (80238724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椋 力 琉球大学, 医学部, 教授 (60032330)
平松 謙一 琉球大学, 医学部, 助教授 (50218814)
宮里 洋 琉球大学, 医学部, 助手 (90284976)
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Keywords | 精神分裂病 / 言語情報処理 / 事象関連電位 / N400 / LORETA |
Research Abstract |
精神分裂病の精神症状の多くが、幻聴、思考障害など言語に関連した認知機能障害を含んでいる。一方、近年のMRIなどを用いた精神分裂病の脳形態学的研究では、前頭葉や側頭葉皮質の容積減少および、一定の精神症状との関連が示唆されている。事象関連電位N400成分は言語を使った認知活動内で生成され文脈からの逸脱に対する精神生理学的指標と考えられる。LORETA(low resolution electromagnetic tomography)は、粗い空間的解像度ではあるが、生理学的に意味のある脳波の発生源を推定できるとされ、近年注目されている。今回我々は精神分裂病のN400成分についてLORETAを用いてその脳内発生源について解析し、精神分裂病の認知障害の生物学的基盤について特にN400生成に関連した言語機能の面から検討を行った。対象は性・年齢を対応させた精神分裂病者と健常者それぞれ18名で、全員右利きであった。課題は語彙判断課題を用い、脳波記録は10-20法に従った16チャンネルで記録した。語彙判断課題中、逸脱刺激に対してのN400成分だけを比較すると、両群のN400振幅に差はなかったが、非逸脱刺激に対する反応との差をとってみると、精神分裂病群ではN400振幅は、健常者群に比較して振幅は低下していた。これはN400成分によって表される精神分裂病の文脈効果が減弱していることを示していると思われる。LORETA解析によりN400の脳表上電流密度を求めたところ健常者群ではN400は、左右両半球とも前頭前野を含む前頭連合野、頭頂連合野の広い範囲で発生が推定されたが、精神分裂病群では同部位のN400は減弱していた。これらの結果は精神分裂病の文脈情報利用の非効率性を示すとともに、前頭連合野、頭頂連合野の機能的な低下を表していると思われる。
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