2001 Fiscal Year Annual Research Report
三量体G蛋白を介する細胞内情報伝達系の感情障害病態生理における関与について
Project/Area Number |
13671030
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小田垣 雄二 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10221160)
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Keywords | 三量体G蛋白質 / セロトニン受容体 / シグマ受容体 / γ-hydroxyburyrate / 非定型抗精神病薬 |
Research Abstract |
平成13年度においては、受容体刺激による[^<35>S]GTPγS bindingの上昇反応を検出するのに最適な実験条件の設定を行った。ラット大脳皮質膜票品におけるGABA_B受容体を介した反応が最大のsignal/noise比を示すように、反応液中のGDP濃度、MgCl_2濃度、NaCl濃度、反応時間、反応温度、用いる膜票品量などの検討を行い、今後の測定に用いる条件を標準化した。この条件下で、種々のG蛋白共役型受容体に対する作動薬を用いてその反応を測定している。まず、以前麻酔薬として使用されていたγ-hydroxybutyrate(GHB)による反応を検討したが、大脳皮質、海馬、腺条体のいずれの部位でも有意な反応は得られず、GHBに対する特異的受容体が存在し、それがGiと共役しているという仮説を証明することはできなかった。また、種々のシグマ受容体リガンドの効果も検討したが、(+)-pentazocineをはじめ反応を認めなかった。ただ、線条体膜票品においては、(+)-3-PPPによる明瞭な反応を認めた。(+)-3-PPPはドパミン自己受容体の作動薬であることも知られているので、今後はこの反応に介在する受容体の薬理学的性質を決定する必要がある。また、セロトニン(5-HT)による反応が3部位とも確認されたため、現在、種々のセロトニン受容体関連薬物を用いて、それぞれの部位での反応がどのセロトニン受容体サブタイプを介したものかの詳細な検討を行っている。これまで得られた結果では、少なくとも大脳皮質、海馬の両部位では、この反応が主に5-HT_<IA>受容体を介していることが次第に明らかになりつつある。いくつかの非定型抗精神病薬の特徴として、5-HT_<IA>受容体の部分作動薬としての性質を持つことが報告されているため、これらの非定型抗精神病薬の反応も検討し、その非定型性への5-HT_<IA>受容体作動薬としての関与の可能性についても考察を進める予定である。
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