2002 Fiscal Year Annual Research Report
三量体G蛋白を介する細胞内情報伝達系の感情障害病態生理における関与について
Project/Area Number |
13671030
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小田垣 雄二 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10221160)
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Keywords | 三量体G蛋白質 / セロトニン受容体 / ドパミン受容体 / 非定型抗精神病薬 / 抗うつ薬 |
Research Abstract |
平成14年度はラットの大脳皮質、海馬、線条体から調整した膜標品を用い、特にセロトニン(5-HT)受容体を介する[^<35>S]GTPγS bindingの上昇反応について検討を重ねた。このうち、大脳皮質および海馬においては種々の5-HT受容体作動薬に対する反応はよく似ており、いずれも主に5-HT_<1A>、受容体を介していることが明らかとなった。今後、拮抗薬による反応を詳細に検討することによってこの点はさらに明らかとしていきたい。線条体における作動薬に対する反応は現在検討を進めているが、少なくとも選択的5-HT_<1A>、受容体作動薬による反応が非常に悪いことから、5-HT_<1A>以外の5-HT受容体の関与を考えている。現在までの検討結果によれば、特に5-HT_<1B>、受容体を介した反応である可能性が高いため、引き続きさらに詳細な薬理学的検討を行う予定である。また、昨年度の研究で線条体における(+)-3-PPPによる反応を認めたため、今年度はその異性体である(-)-3-PPPによる反応を検討したが、(+)-3-PPPと異なり特異的結合の上昇は認めなかった。線条体においては、今後、ドパミン受容体作動薬および拮抗薬を用いた検討を進めていきたい。精神科治療薬との関連では、上記の海馬における5-HT_<1A>受容体を介した[^<35>S]GTPγS bindingの上昇反応を利用して、いくつかの非定型抗精神病薬が5-HT_<1A>受容体作動薬として作用することを明らかにした。また、抗うつ薬のtrazodoneおよびその活性代謝物であるmCPPも5-HT_<1A>受容体作動薬であることを示すことができた。現在、ヒト5-HT_<1A>受容体を発現させたCHO細胞を用いて各種精神科治療薬の効果を検討し始めたところであり、今後、ラットの脳膜標品での結果と比較していきたい。
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