2002 Fiscal Year Annual Research Report
造血系におけるトランスフェリン・レセプター2の発現と機能の解析
Project/Area Number |
13671088
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Research Institution | KANAZAWA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
川端 浩 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10329401)
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Keywords | トランスフェリン / トランスフェリン受容体 / 鉄代謝 / 赤芽球 / 造血 |
Research Abstract |
この研究期間中に、transferrin receptor 2(TfR2)の先天的変異を伴う家族性ヘモクロマトーシスが世界各地より報告され、この分子の鉄代謝への関わりが確実視されるに至っている。本研究では、造血系に的を絞ってこの分子の発現と機能の解析を行ってきた。 1,Maltose-binding proteinとTfR2の細胞外ドメインを結合したキメラ蛋白を大腸菌に発現させ、これを抗原としてウサギに免役し、抗体を作成した。TfR2に特異的なアミノ酸配列から合成ペプチドを作成し、これを抗原として、別の抗ウサギポリクローナル抗体を作成した。これらの抗体の特異性と感受性を、TfR2を発現させたCHO-TRVb細胞、transferrin receptor 1を発現させた細胞、およびコントロール細胞をもちいて、調べた。その結果、作成した2つの抗TfR2抗体が免疫組織学的染色およびウエスタンブロッティングにおいて、有用であることが分かった。 2、次にこの抗体を用いて、正常および血液疾患の骨髄細胞を免疫組織学的にしらべた。赤芽球系細胞が陽性に出る傾向がみられたが、骨髄系細胞と巨核球については結果が一定しなかった。臨床検体では赤白血病(AML-M6)の1例で非常に強いTfR2の発現が確認された。 3,上記二つの抗体のうち一つをペルオキシダーゼ標識し、サンドウィッチELISAを試みているが、血清中のTfR2の検出には現在のところ至っていない。 4,現在、競合的ELISAや、分子の機能解析などのために、可溶性TfR2をSf9細胞に大量発現させる系を作成中である。 5,UCLA/Cedars-Sinai Medical CenterのPhillip Koeffler、Saint Louis大学のRobert Flemingらとの共同研究で進めてきたTfR2変異マウスの作成では、ヒトでみられたのと類似した肝臓への鉄の沈着がみられたものの、造血系での異常は、骨および末梢血液像でみるかぎり認められなかった。これらの動物モデルにおいて、コロニーアッセイなどを用いて、現在、さらに詳しい造血系の解析を行っている。
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