2002 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイを用いた難治性糸球体腎炎の発症機序の解明
Project/Area Number |
13671104
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
上野 光博 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (90260546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下条 文武 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20126410)
成田 一衛 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20272817)
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Keywords | IgA腎症 / 遺伝子多型 / 高血圧 / アンジオテンシノーゲン / FcR受容体 / 多価免疫受容体 / ウテログロビン / α-adducin |
Research Abstract |
DNAマイクロアレイを用いた研究を始めるに当たり、日本人に最も多いIgA腎症の遺伝子多型に注目して解析した。IgA腎症はこれまでに多因子が発症に関わる疾患であることが知られているが、当研究施設で長期経過を追うことができた約250症例について、発症・進展に関わると考えられるファクターの遺伝子多型(SNPs)を臨床データと詳細に比較することにより、重要な所見を見いだした。すなわちUteroglobin、Angiotensinogen、SA、Aldosterone Synthaseに存在するSNPsとIgA腎症の予後との関連を証明した。すなわち、Uteroglobin遺伝子の多型が、IgA腎症の、特に尿蛋白の多い症例や高血圧のある、もともと予後が不良な症例において予後に大きな影響を与えることを報告した。 また、Angiotensinogen遺伝子のプロモーター領域の多型が、IgA腎症の腎機能予後に影響することが明らかになった。 さらにpolymeric immunoglobulin receptorをコードする遺伝子に多型がみられ、IgA腎症症例では健常対照者およびIgA腎症以外の腎炎患者に比較して、有意に遺伝子変異の確率が高いことを発見し、報告した。さらにFcαR遺伝子のプロモータ領域に3カ所の一塩基多型を同定し、IgA腎症とIgA腎症以外の糸球体腎炎の患者で遺伝子頻度、haplotype頻度を比較したが、有意差を認めないことを報告した。 また臨床的な研究として、最近IgA腎症と扁桃線との関連が注目されているが、私達はIgA腎症症例で扁桃摘出を受けたものとそうでないものの腎症進行の予後をretrospectiveに比較した。その結果扁桃腺摘出した患者は、しなかった患者に比べ、予後が良好であったことを報告した。 これによっで、今後腎組織のみならず、扁桃腺組織からmDNAを抽出して遺伝子の発現をDNAマイクロアレイを用いて、解析を行う予定である。
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[Publications] Song Jin, et al.: "Gender Specific Association of Aldosterone Synthase Gene Polymorphism with Renal Survival in Patients with IgA Nephropathy"Journal of Medical Genetics. (in press). (2003)
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[Publications] Xie, Y., et al.: "The efficacy of tonsillectomy on long-term renal survival in patients with IgA nephropathy"Kidney international. (in press). (2003)
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[Publications] Narita Ichiei, et al.: "Role of genetic polymorphism in the SA gene on the blood pressure and prognosis of renal function in patients with IgA nephropathy"Hypertension Research. 25. 831-836 (2002)
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[Publications] Narita Ichiei, et al.: "Role of uteroglobin G38A polymorphism in the progression of IgA nephropathy in Japanese patients"Kidney international. 61. 1853-1858 (2002)
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[Publications] Goto Shin, et al.: "A(-20)C polymorphism of the angiotensinogen gene and progression of IgA nephropathy"Kidney international. 62. 980-985 (2002)