2002 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βの情報伝達分子Smadによるプロモーター調節を利用した腎線維症の制御
Project/Area Number |
13671132
|
Research Institution | KURUME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
玉置 清志 久留米大学, 医学部, 講師 (10312141)
|
Keywords | TGF-β / Smad / 線維化 / 細胞外マトリックス / SBE / 遺伝子導入 / GFP |
Research Abstract |
細胞の分化増殖、発生、免疫に関与するTGF-βは、病的過剰状態において、組織の硬化や線維化に重要な役割を果たす.我々は,動物腎硬化モデルでTGF-β発現が増加することやヒトのIgA腎症では,尿中TGF-βの排泄が増加することを明らかにしてきた.TFG-βの細胞内情報伝達分子Smadには、特異型(Smad2/3)、共有型(Smad4)、抑制型(Smad6/7)がある.特異型Smad系の標的遺伝子の特異的プロモーターであるSmad binding element(SBE)の下流域に、ルシフェラーゼ遺伝子を挿入した合成遺伝子(SBE-Lux)を用いて、次のような実験を行った。SBE-Luxを培養細胞に遺伝子導入し、TGF-βの濃度依存性にLux活性が上昇することを明らかにした。また培養細胞にSBE-Luxを遺伝子導入し,同時にAGEなど,既知のTGF-β誘導物質を添加すると,ルシフェラーゼ活性が増加するから,これらの物質がTGF-β/Smad系を刺激することが明らかにした. SBEの下流に蛍光発色物質であるGFP蛋白を結合させた合成遺伝子を作製した。これによってTGF-bの標的細胞を可視化することを考案し,培養細胞においては,TGF-β刺激下に可視化することができた.しかし,既知のTGF-β誘導物質による刺激ではGFP発色の有意な増加は認められなかった.これを障害された組織に遺伝子導入した場合も同様であった.Luxの発現やGFPの発色には,10-2ng/ml以上のTGF-βの濃度が必要であり,このような高濃度のTGF-βは,生理的には勿論,病的状態においても存在しないと考えられる. 今後,低濃度のTGF-βに反応する,プロモーターを合成する必要があると考えられた.
|
-
[Publications] K.Tamaki et al.: "Role of TGF-β in the progression of renal fibrosis"Contribution to Nephrology. 139. 44-65 (2003)
-
[Publications] Ikedo H, Tamaki K et al.: "Smad protein and TGF-β signaling in vascular smooth muscle cells"International Journal of Molecular Medicine. (印刷中). (2003)
-
[Publications] Fukami K, Tamaki K, et al.: "Advanced Glycation Endproducts and their receptor interactoion promotes mesangial cell damage via angiotensin II and TGF-β"J Am Soc Nephrol. 13. 654A (2002)
-
[Publications] 玉置清志 他: "急速進行性糸球体腎炎"内科学会雑誌. 91. 1570-1582 (2002)
-
[Publications] 玉置清志 他: "腎疾患-state of ares 2003-2005"メサンギウム増殖性腎炎のモデル. 232-235 (2003)