2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性運動失調発症機序の解明-ミュータントマウスを用いての解析-
Project/Area Number |
13671139
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福井 義浩 徳島大学, 医学部, 教授 (50144168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 ひろみ 徳島大学, 医学部, 助手 (50294666)
澤田 和彦 徳島大学, 医学部, 助教授 (10284324)
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Keywords | ローリングマウス / 運動失調 / CRF / 下オリーブ核 / 脳幹 / in situ hybridization / 小脳 / 登上線維 |
Research Abstract |
ローリングマウス(RMN)は運動失調を呈するミュータントで、P/Q型Ca^<2+>チャンネルα_<1A>サブユニットをコードする遺伝子に変異を持つ。昨年度は、抗CRF (corticotropin-releasing factor)抗体を用いた免疫組織化学的解析により、RMNの一部の登上線維と苔状線維の終末でCRF免疫陽性反応が高いことを示した。今年度は、登上線維の起始核である下オリーブ核におけるCRFmRNA発現をin situ hybridizationにより検討した。 成獣のRMN及び対照マウスをZamboni液で灌流固定し、脳幹の前頭断切片を作製し、^<35>S標識CRFmRNAプローブを用いてin situ hybridizationを行った。下オリーブ核の各亜核におけるCRFmRNA発現を定量解析した。RMN下オリーブ核では、内側副オリーブ核β亜核(IOBe)およびventrolateral protrusion (IOVL)でのCRFmRNAシグナルが最も強く、その発現量は、対照マウスに比べて約2倍高かった。また、主オリーブ核(IOPr)、背側副オリーブ核(IOD)、内側副オリーブ核A亜核(IOA)でのCRFmRNA発現量も対照マウスに比べて有意に高かった。 RMN下オリーブ核では、IOBe、IOVL、IOPr、IOD、IOAでのCRFmRNA発現量が高く、これら亜核由来の登上線維の投射領域は、RMN小脳においてCRF免疫陽性反応が高い領域と一致していた。RMNで特に発現増加が著しいIOBeとIOVLは、前庭小脳に登上線維を投射し、平衡感覚の維持に重要な働きをする。これら亜核でのCRF発現増加は、RMNにおける運動失調発症に深く関与していると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sawada, K.: "Effect of pre-irradiation of mice whole body with X-ray on radiation induced killing, induction of splenic lymphocyte apoptosis, and expression of mutated Ca^<2+> channel α_<1A> subunit"International Congress Series. 1236. 477-479 (2002)
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[Publications] 福井義浩: "Rolling mouse NagoyaにおけるCa^<2+>チャンネルの異常と運動失調"Clinical Neuroscience. 12. 174-176 (2003)
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[Publications] Sawada, K.: "Enhanced radiation-induced fatal sensitivity and splenic lymphocyte apoptosis in mice with mutation in P/Q-type Ca^<2+> channel α_<1A> subunit gene"The Proceedings of ISBER. (in press). (2003)