2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671145
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
仁科 秀則 順天堂大学, 医学部, 講師 (70251270)
|
Keywords | 胎児 / 聴覚 / 低酸素 |
Research Abstract |
胎齢126日(満期148日)のヤギ胎仔6頭(胎齢126.0±1.6日)を臍帯動静脈A-V ECMOシステムを用いて子宮外保育し、循環動態が安定した時期に低酸素負荷を行い、胎仔の聴性脳幹反応(ABR)および聴性中間反応(MLR)の変化を解析し、低酸素状態が胎仔の聴覚に及ぼす影響を検討した。 ヤギ胎仔には、脳波、心電図、頸動脈血流量、動脈圧測定用のプローブと聴性誘発反応(ABR,MLR)を誘導するための電極を装着し、さらに防水イヤホンマイクをヤギ胎仔の両耳に装着した。音刺激は持続100μsecのクリック音を用い、105dBの音圧で、ABR波形は2000回、MLR波形は500回の加算平均を求めた。低酸素負荷は、体外循環回路の酸素投与量を調整することにより行い、PaO_215mmHg以下を低酸素状態とした。 低酸素負荷前(PaO_2 : 29.6±5.2mmHg)および負荷中(PaO_2 : 13.0±1.5mmHg)の血圧、頸動脈血流量、ABR、MLRをデジタルデータレコーダに記録し、実験終了後コンピュータ解析を行い、ABRおよびMLRは各波の潜時と振幅の変化について検討した。 低酸素負荷により、平均動脈血圧は25.0±15.7mmHgから41.1±16.5mmHgに上昇し、頸動脈血流量は36.3±16.6%増加した。ABRでは第V波の潜時は0.58±0.16msec延長し、振幅が53.1±1.9%に低下した。MLRではPa波の潜時が3.00±0.61msec延長し、振幅が52.3±5.6%に低下した。 低酸素負荷による血圧上昇と頭部への血流量増加といった代償反応にもかかわらず、ABRおよにMLRに潜時の延長、振幅の低下を認め、特にABRの第V波、MLRにおいてその変化が著明であったことから、低酸素状態は胎仔の中脳より中枢側の聴覚神経繊維に影響を及ぼす可能性が示唆された。
|