2001 Fiscal Year Annual Research Report
母体血中胎児有核赤血球のsingle cell levelのDNA分析
Project/Area Number |
13671146
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
高林 晴夫 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教授 (60171542)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 守 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助手 (50319068)
市川 秀隆 金沢医科大学, 医学部, 助手 (40151469)
谷野 幹夫 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (60135051)
|
Keywords | 母体血 / 有核赤血球 / 胎児診断 / DNA診断 / マイクロマニピュレーション / PEP / PCR / FISH |
Research Abstract |
同意を得た妊婦33人より羊水穿刺の前に採血した血液からdouble-density gradientsにより有核赤血球分画を分離し、HbF染色により胎児細胞を選別し、micromanipulatorを使用し胎児有核赤血球をスライドグラス上に回収・再配置し、dual-colorあるいはmulticolor FISHを行い、性染色体および13、18、21番染色体の数的異常の分析を行った。 各々の症例において分析可能だった胎児細胞数は平均30細胞だったが、33例中3例は、HbF陽性細胞が著しく多く認められ、この3例については100細胞を分析した。33例中、3例に染色体異常が認められた。内訳はトリソミー21、トリソミー13およびXXYであり、各々HbF陽性細胞のほぼ90%に過剰なシグナルが認められた。この結果は、羊水による染色体分析の結果と同様であった。 今回の染色体分析の結果から、HbF染色により陽性を呈した細胞のほぼ90%が胎児由来の異常細胞であると考えられた。本法は母体血中胎児細胞による出生前診断において有用な方法であると考えられた。 今後、処理過程の自動化、分析過程のLab on a Chip化が重要な課題と思われる。 また今回我々は、簡便で安価な特異的抗胎児グロビン抗体を作製することを試みた。従来はゲル濾過し等電点電気泳動で胎児ヘモグロビンを精製していたが、今回は膀帯血よりヘモグロビンを分離し、ヘムをヘモグロビンより遊離させ、遊離したヘムをアセトン中に抽出することによりグロビンを析出さるという簡便な方法を用いてグロビンの分離を行った。この分離した胎児グロビンを用いて既報の方法に従い家兎に免疫し、抗胎児グロビン抗体を作製した。 得られた抗体は、我々の方法で作製した胎児グロビンと特異的に反応した。今回、作製した抗体は精製胎児グロビンとよく反応した。現在、検者献体との反応は検討中であるが、本抗体は胎児有核赤血球分離のための良い選択肢の一つになりうるものと考えられた。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Haruo Takabayashi: "Noninvasive prenatal diagnosis of chromosomal aneuploidiies by isolation and analysis of fetal cells fromm maternal blood"Am.J.of Med. Genet. 101. 262-267 (2001)
-
[Publications] Haruo Takabayashi: "Fetal nucleated red cell counts in peripheral blood of bothers bearing down syndrome fetus"Neuropediatrics. 32. 147-149 (2001)
-
[Publications] 高林 晴夫: "母体血中胎児有核赤血球:分離・回収・分析"遺伝子医学. 5(3). 10-11 (2001)
-
[Publications] 高林 晴夫: "出生前遺伝子検査の進歩:母体血による胎児DNA診断"遺伝子医学. 5(3). 28-34 (2001)
-
[Publications] 高林 晴夫: "母児間輸血症候群"周産期医学. 31. 355-356 (2001)
-
[Publications] 高林 晴夫: "Single cell levelのDNA分析(第3報)-PEP-PCRによるSingle Cell Analysisの基礎的検討-"金医大総医研年報. 12. 101-108 (2001)
-
[Publications] 高林 晴夫(分担): "新女性医学大系、第5巻「産婦人科検査診断法」"中山書店、東京. 477 (2001)