2003 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体PPARγ:RXRを介した卵巣顆粒膜細胞のアロマターゼ発現制御機構
Project/Area Number |
13671157
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳瀬 敏彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30239818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名和田 新 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10038820)
大池 正宏 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (70271103)
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Keywords | 卵巣 / 顆粒膜細胞 / アロマターゼ / PPARγ / RXR |
Research Abstract |
我々は、ヒト卵巣顆粒膜細胞癌組織より、細胞株を樹立し、KGN細胞と命名した。KGN細胞は高いアロマターゼ(エストロゲン合成)活性を保持し、卵巣顆粒膜細胞のアロマターゼ活性の調節機構の研究には最適と考えられた(Endocrinol 142:437,2001)。このKGN細胞株には高いPPARγの発現を認めたが、KGN細胞のアロマターゼ活性は核内受容体のPPARγ:RXRのそれぞれリガンドであるTroglitazoneとLG100268によって相乗的に抑制されることを見い出した(Mol cell Endocrinol181:239、2001)。アロマターゼ活性の抑制は、RXRとヘテロダイマーを形成する他の核内受容体のシステムでは認められず、PPARγ:RXRシステムに特異的な現象であった。このアロマターゼ活性の抑制は、アロマターゼ遺伝子のmRNAのstability assayとin vitro transcription assayよりmRNAのstabilityの低下と転写レベルの両方の低下が関与することが明らかとなった。転写レベルの機序についてCYP19のpromoter regionをルシフェラーゼベクターに構築して検討したところ、ルシフェラーゼベクター活性の低下を証明した。さらに。その転写活性抑制機序について検討したところ、NF-κBを介した間接的転写抑制機序によることを見い出し、さらにその詳細を検討した。その結果、TGZとLGの同時添加はP450arom promoter II(PII)の転写活性をKGN細胞においてもNIH3T3細胞においてもPPARγ依存性に抑制した。さらにこの抑制はNF-κB抑制剤であるCAPEあるいはAPDCの処理により、完全に解除された。興味深いことにp65もしくはNF-kB-inducing kinaseの強制発現によるNF-κBの活性化はPII転写活性を増強した、内因性のNF-κBによるCYP19の発現刺激はNF-κB抑制剤がPIIの基礎転写活性を抑制したことからも示唆された。TGZ+LG処理は内因性のlκBあるいp65の発現量には影響を与えなかったが、NF-κB応答配列を含むリポーター遺伝子のNF-κB依存性の転写活性を濃度依存性に抑制した。これらの結果は、特異的リガンドによるPPARγ-RXR系の活性化はヒト卵巣顆粒膜細胞において、NF-κBシグナルを抑制し、ひいてはNF-κB依存性のCYP19の発現を抑制することが明らかとなった。PPARγ-RXR系、NF-κB並びに両者のクロストークは卵巣におけるアロマターゼの新しい活性調節機序である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Fujii A, Harada T, Yamauchi N, Iwabe T, Nishi Y, Yanase T, Nawata H, Terakawa N: "Interleukin-8 gene and protein expression are up-regulated by interleukin-1beta in normal human ovarian cells and a granulosa tumor cell line."Fertil Steril.. 79. 151-157 (2003)
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[Publications] Mukasa C, Nomura M, Tanaka T, Tanaka K, Nishi Y, Okabe T, Goto K, Yanase T, Nawata H: "Activin signaling through type IB receptor stimulates aromatase activity in the ovarian granulosa cell-like KGN cells."Endocrinology. 144. 1603-1611 (2003)
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[Publications] Lu ZH, Mu YM, Wang BA, Li XL, Lu JM, Li JY, Pan CY, Yanase T, Nawata H.: "Saturated free fatty acids, palmitic acid and stearic acid, induce apoptosis by stimulation of ceramide generation in rat testicular Leydig cell."Biochem Biophvs Res Commun.303:1002-7, 2003. 303. 1002-1007 (2003)
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[Publications] Yanase T, Suzuki S, Goto K, Nomura M, Okabe T, Takayanagi R, Nawata H: "Aromatase in Bone : Roles of Vitamin D3 and Androgens"J Steroid Biochem Molec. 86. 393-397 (2003)