2002 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによる糖尿病腎糸球体異常の分子機構の解明とその制御
Project/Area Number |
13671184
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
羽田 勝計 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (60164894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 大祐 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70242980)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / 糸球体 / 酸化ストレス / NADPH oxidase / PKC |
Research Abstract |
最近、腎症を含む糖尿病合併症の発症に酸化ストレスが関与している可能性が注目されてきている。しかし、糖尿病における腎糸球体の酸化ストレスに関しては、脂質過酸化物の測定によりその存在が推察されているのみであり、酸化ストレスが実際に腎糸球体で生じているか否かは明確ではない。また、腎糸球体において、酸化ストレスが生ずる機構、酸化ストレスが腎糸球体異常を惹起する機構は未だ明らかにはされていない。そこで本研究は、酸化ストレスによる糖尿病腎糸球体異常の分子機構を解明し、その制御法を開発することを目的とした。昨年度ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットより単離した糸球体において、酸化ストレスが増加していることを確認したので、本年度は酸化ストレスを生じる機構を解析した。 その結果、糖尿病ラットの腎糸球体において、まず、1.活性酸素の産生は、NADPH oxidaseの阻害剤により抑制されたが、他の活性酸素産生系の阻害剤では抑制されないことが明らかとなった。2.NADPH oxidase活性は糖尿病ラット糸球体で亢進しており、3.そのサブユニットの中でp47phoxおよびp67phoxのmRNA発現が増強していた。4.さらに、p47phoxおよびp67phox蛋白の細胞質から細胞膜へのtranslocationも亢進していた。5.これらの変化はインスリン治療により完全に是正され、またPKC-β阻害薬によっても有意に抑制された。以上から、糖尿病ラット糸球体ではNADPH oxidase活性化により酸化ストレスが増強しており、この変化にPKC活性化が一部関与していると考えられた。
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