2001 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴を用いた糖尿病性心筋障害の新しい非侵襲的診断法の開発
Project/Area Number |
13671185
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
鈴木 英司 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30196795)
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Keywords | 磁気共鳴 / 糖尿病性心筋障害 / 位相画像 / 冠動脈 / 冠状静脈洞 / スペクトロスコピー / 脂肪変性 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
当院既設の磁気共鳴装置(SIGNA HORIZON-LX,1.5テスラ)をアップグレードするため、心臓の測定に対応したソフトウェアを導入した。また、高い測定精度を得るため、体深部にある心臓に対応した挟み型コイルで、4チャンネルのフェイズドアレイコイルを持つカーディアック・フェイズドアレイコイルを導入した。冠循環の新しい評価法の開発は、(1)造影剤を用いない磁気共鳴アンギオグラフィーを、心電図同期により3〜4分で撮像し、左前下行枝、回旋枝、右冠動脈の起始部の蛇行、狭窄、閉塞などの評価が可能となった。しかし、冠動脈はサイズが細く心拍動と呼吸により動くため、末梢部の血管描出は困難である。(2)そこで20秒以内の息止めと高速シネ撮像法を併用し、冠動脈の起始部で心電図同期により1心拍を20分割した位相画像を撮像し、血流速度を求めた。冠動脈はサイズが小さく血流量を測定できないが、心筋静脈血の96%までが通過する冠状静脈洞はサイズが大きく、同様の方法を用いて血流量を求めることが可能となった。その結果、正常対照者(n=4)は、左右冠動脈の平均血流速度は14.1±5.0(cm/sec)と12.9±4.8(cm/sec)、冠状静脈洞の平均血流量は156±16(ml/min)であった。糖尿病患者(n=7)は、左右冠動脈の平均血流速度は9.0±2.4(cm/sec)と9.3±2.7(cm/sec)、冠状静脈洞の平均血流量は141±60(ml/min)であった。今後は、(3)頚動脈エコーを用いた内膜中膜複合体の肥厚度や、電子ビームCTを用いた冠動脈の石灰化指数などの動脈硬化のパラメーターと比較し、糖尿病患者に特有な血流異常を診断できるようにする。心筋性状と機能の新しい評価法の開発は、(1)心筋内に8×8×8mmの選択領域を設定し(press法)、^1H-磁気共鳴スペクトロスコピーを用いて脂肪変性を定量化する。(2)新しい測定技術であるOVS法(outer volume suppression)と^<31>P-磁気共鳴スペクトロスコピーを用いて、生命維持に必要な心筋内高エネルギー燐化合物であるクレアチン燐酸やATPを定量化する。
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