2002 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴を用いた糖尿病性心筋障害の新しい非侵襲的診断法の開発
Project/Area Number |
13671185
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
鈴木 英司 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30196795)
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Keywords | 糖尿病 / 磁気共鳴 / 冠動脈 / 血流波形 / 血流速度 / 心筋 / 脂肪変性 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
当院の分子神経科学研究センター磁気共鳴グループとの共同研究により、糖尿病診療に役立つよう磁気共鳴を用いた糖尿病性足病変の新しい非侵襲的診断法を開発した。これらの検査法は世界に全く類の無い独創的な測定技術を導入し、従来の検査法では解明し得なかった新しい臨床病態異常を解明した.その研究成果は、欧州糖尿病学会誌(Diabetologia 43:165-172,2000、43:1031-1038,2000)および米国糖尿病学会誌(Diabetes Care 24:2107-2114,2001、in press)に掲載された。さらに造影剤を必要としない磁気共鳴アンギオグラフィーを用いた足血管像は、2002年度の欧州糖尿病学会誌の表紙に採用され、その有用性は広く世界に紹介された。当院で積み重ねられた臨床データをもとに2002年1月GE横河メディカルシステム技術開発センターと産学共同プロジェクトを発足した。これらの経緯を経て2002年9月磁気共鳴を用いた糖尿病性足病変の非侵襲的診断法、フットパッケージが完成した(日経産業新聞、2002年9月26日)。本検査法は我が国では362台世界ではおよそ3000台の磁気共鳴装置で稼動でき、国内外の糖尿病診療のみならず血管外科や再生医療の分野の最前線の臨床研究を支援できると期待されている。 当院では電子ビームCTを用いて糖尿病患者の冠動脈石灰化指数を計算し、非侵襲的に冠動脈イベント発症高危険群を診断している。これらの臨床データと、これまでに当院で蓄積された磁気共鳴技術をさらに発展させ、糖尿病性心合併症の非侵襲的診断法、カーデアックパッケージの実用化を目指している、心臓の測定に対応するための当院既設の磁気共鳴装置(SIGNA HORIZON-LX, 1.5テスラ)をアップグレードして高速撮影を可能にした。また、体深部にある心臓に対応した挟み型コイルで、4チャンネルのフェイズドアレイコイルを持つカーデアック・フェイズドアレイコイルを導入し測定精度を向上した。その結果ハード面の問題は解決された。冠循環の新しい評価法は、(1)造影剤を用いない磁気共鳴アンギオグラフィーを心電図同期により3〜4分で撮像し、左前下降枝、回旋枝、右冠動脈の起始部の蛇行、狭窄、閉塞などの形態評価が可能となった。しかし、冠動脈はサイズが細く心拍動と呼吸により動くため、末梢部の血管描出は困難である。(2)そこで20秒以内の1回の息止めと高速シネ撮像(Fastcard-cine-PC)法を併用し、冠動脈の起始部で心電図同期により1心拍を20分割して位相画像を撮像し、血流波形、血流速度、抵抗係数を求めた。その結果、糖尿病患者に特有な血流異常が認められた。正常対照者(n=5)の左右冠動脈の平均血流速度は14.1±5.0と12.9±4.8(cm/sec)であった。しかし、冠動脈石灰化指数401以上の冠動脈イベント発症高危険群(n=7)は、狭窄や閉塞が無くても動脈壁硬化により異常な血流波形となり、左右冠動脈の平均血流速度が9.0±2.4と9.3±2.7(cm/sec)へ低下した。(3)press法を用いて左室心筋内と中隔に8x8x8(mm)の選択領域を設定し、1H-磁気共鳴スペクトロスコピーを用いて脂肪変性を定量化することが可能となった。(4)生命維持に必要な心筋内高エネルギー燐化合物であるるクレアチン燐酸やATPを定量評価するため、OVS(outer volume suppression)法などの新しい技術開発が必要である。今後さらにソフト面を充実させ、臨床データを蓄積することにより磁気共鳴ソフトウェアの実用化を目指す。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Suzuki E et al.: "Increased arterial wall stiffness limits flow volume in the lower extremities in type 2 diabetic patients"Diabetes Care. 24. 2107-2114 (2001)
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[Publications] Suzuki E et al.: "Prevalence and major risk factors of reduced flow volume in lower extremities with normal ankle-brachial index in Japanese patients with type 2 diabetes mellitus"Diabetes Care. (in press).