2002 Fiscal Year Annual Research Report
低血糖ラット脳細胞のブドウ糖感受性に対するモノカルボン酸トランスポーターの関与
Project/Area Number |
13671207
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Research Institution | KURUME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小路 眞護 久留米大学, 医学部, 講師 (10281528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香野 修介 久留米大学, 医学部, 助手 (60268943)
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Keywords | インスリン低血糖ラット / 脳神経興奮性の低血糖適応 / モノカルボン酸トランスポーター / グリコーストランスポーター |
Research Abstract |
平成13年度までの電気生理学・光学的研究にて、正常ラット新鮮脳薄切片への低グルコース・クレブス液投与後の脳神経興奮性抑制からの回復過程や、慢性インスリン低血糖ラットの新鮮脳薄切片で低グルコース液投与により神経興奮性抑制を起こさないといった低グルコースに対する慢性適応状態にモノカルボン酸トランスポーター(MCT)が関与することが示された。そこで、正常ラット(N=10)および慢性低血糖ラット(N=13)脳組織から抽出した総RNAから、それぞれMCT1、MCT2、およびグルコーストランスポーター(GLUT)1、GLUT2をプローブとしてノーザンブロッティングを行い、RNAの発現量の差異の検討を行った。正常ラット脳では、MCT1、MCT2ともRNA発現は認めなかったが、慢性低血糖ラット脳では、MCT1、MCT2のRNAの同様な発現を認めた。また、慢性低血糖脳で、正常ラット脳に比し、GLUT1は約1.5倍、GLUT3は約2倍のRNA発現量の増加を認めた。また、正常ラット脳を低グルコース液で前処置し、もとの通常グルコース液に戻した後の脳組織(N=8)からも同様に検討した所、MCT1、MCT2ともにわずかではあるが、RNAの発現を認めた。次に上記各脳組織から蛋白を調整し、抗MCT1、MCT2、GLUT1、GLUT3抗体を用いてウエスタンブロッティングを行い蛋白レベルの発現量の差異を検討した。正常ラット脳では、MCT1、MCT2蛋白発現は認めなかったが、慢性低血糖ラットで有意な発現を認めた。また正常ラット脳に比し、低血糖ラット脳でGLUT3蛋白発現の増加を認めた。以上より、脳は低血糖に曝されると、通常発現していなかったMCTが神経細胞やグリア細胞に現れ、これが脳神経細胞興奮性の低血糖に対する適応の要因となる可能性が示唆された。
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