2001 Fiscal Year Annual Research Report
移植肝サイズがbacterial translocationに及ぼす影響の解析-生体肝移植における術後感染症の防止に関する研究-
Project/Area Number |
13671231
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾池 文隆 京都大学, 医学研究科, 助手 (20324650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 哲也 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40303820)
上本 伸二 三重大学, 医学部, 教授 (40252449)
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
貝原 聡 京都大学, 医学研究科, 講師 (70324647)
江川 裕人 京都大学, 医学研究科, 講師 (40293865)
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Keywords | 生体肝移植 / グラフトサイズ / bacterial translocation |
Research Abstract |
平成14年3月22日現在まで京都大学における生体肝移植症例数は795となった。最近の症例では半数を超える症例が成人レシピエントである。小児症例の1年生存率約90%に対し、成人症例では約70%にとどまり、成人症例の成績向上が急務となっている。 retrospective studyにおいて、過小グラフトいわゆるsmall-for-size graftでは、術前の状態の悪い症例(UNOS 2a)で特に生存率が悪くなることが明らかとなった。術前状態の悪い患者での術後直接死因の多くは感染症であり、グラフトサイズと、感染症との直接の関連性についての検証が今後の課題となる。 現在まで105例に門脈カテーテルの留置による検討を行った。門脈圧が手術終了時に20を超える症例では生存率が低下した。血管吻合部に問題が無いにもかかわらず門脈圧の高い症例では、相対的に過量な門脈循環血液量が過小グラフトに障害をおこしている可能性がある(hyperperfusion)。培養検査では、便から検出される菌種が全身の感染症原因菌と一致することが少なくないにもかかわらず、門脈血が末梢血より早期に血液培養陽性となった症例は見られず、bacterial translocationが血行性よりリンパ行性に起こりやすいとする最近の動物実験での知見に一致する結果が出つつある。門脈血の白血球phenotype分析では門脈圧の高い症例においてCD11b陽性細胞が多い傾向があり、顆粒球系の活性化が示唆され感染との関連が窺われる。 bacterial translocationを考慮した感染対策として経腸栄養チューブを留置した。これにより、腸粘膜の退精を防ぎ、腸内細菌叢を正常に保ちbacterial translocationを防ぐことが期待される。また、長期の中心静脈栄養が必要なくなり、カテーテル感染のリスクが低下した。
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