2001 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍薬による癌細胞の中心体過剰複製と分裂期細胞死:新たな細胞死の機構
Project/Area Number |
13671244
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水元 一博 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (90253418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30163570)
永井 英司 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (30264021)
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Keywords | 中心体 / 細胞死 / 分裂期細胞死 / 放射線照射 |
Research Abstract |
我々は、放射線やDNA障害性抗癌剤によって癌細胞に観察される中心体過剰複製とこれに起因する多極性紡錘体極が、直接的に異常な細胞分裂を引き起こし、細胞が死にいたる新しい分裂期細胞死の機構について検討した。 10種類のヒト癌細胞株にガンマ線を10Gy照射すると全ての細胞株で中心体の過剰複製が観察された。中心体の過剰複製は照射後24時間目から明かとなり、120時間後には80%以上の細胞で2個以上に過剰複製された中心体が観察された。中心体過剰複製の頻度は照射の線量に依存して増加した。中心体と紡錘体の2重染色を行うと、過剰に複製された中心体の多くは紡錘体極の中心に存在し、微小管形成能を保持していた。 分裂期にある細胞を観察すると、2つ以上の多極性紡錘体によって染色体の不平等な分離が誘導されていた。分裂後期の細胞では、不規則に分断された多核の細胞や微小核を有する細胞が多く出現していた。FACS scanでは8倍体のDNAが観察され、多核細胞の出現を裏付けた。多核細胞や微小核細胞は照射後72時間をピークとして出現し、その後これと相関する頻度で死細胞が出現した。 分裂期細胞のみをmitotic shake offによって集め、さらに培養を継続すると種々の多核細胞が出現し、培養後7日目には大半の細胞の細胞膜が膨化し、死細胞となった。P21遺伝子を導入すると中心体の過剰複製が抑制され、同時に細胞死の出現も抑制された。 以上の結果から、放射線照射による細胞死に中心体の過剰複製に起因する異常な細胞分裂が分裂期細胞死であることが示唆された。同様に抗癌剤の一部にも類似の細胞死を誘導することが明かとなり、現在更なる研究を進めている。
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Research Products
(1 results)