2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝阻血再灌流障害におけるセロトニン誘導内皮細胞障害の病態解明と制御
Project/Area Number |
13671247
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 逹也 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00285222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 俊 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (10094393)
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Keywords | セロトニン / 肝虚血再灌流障害 / セロトニンS2レセプター |
Research Abstract |
[目的]セロトニンは、正常血管と損傷血管とでまったく相反する作用をもたらす。内皮障害部位では血管平滑筋細胞膜上と血小板膜上に存在する5-HT2レセプターに作用し血管収縮と血小板凝集を引き起こす。従って、セロトニンの局所の増加は虚血障害をより増悪すると考えられる。そこで、実験的肝部分温阻血再灌流モデルを用いて選択的セロトニンS2レセプター拮抗剤(S2R)を投与しその効果によりセロトニンの関与を検討した。 [対象と方法]8週令SD系雌性ラットを用い肝部分温阻血再灌流モデルを作成し4群;対照群(C)、30分阻血群(30I)、60分阻血群(60I)、90分阻血群(90I)に分類し、それぞれS2R投与、非投与に分けた。再灌流後30,60,90,120分後に犠牲死させ、血清生化学検査(AST, ALT, LDH)、摘出肝において内皮障害の有無を比較するために抗不活性型calpain-μ抗体を用いた免疫組織染色を施行した。 [結果]不活性型calpain-μはC群で肝細胞、内皮細胞に散在性に染色され、S2R投与群、非投与群とも阻血群ではグリソン鞘内小血管内皮細胞を含めて染色性が低下した。血清生化学検査値は、30I群、60I群ではS2Rを使用した群で低い傾向が認められた。 [結語]肝虚血再灌流障害においてセロトニンの関与が示唆され、またグリソン鞘内小血管内皮細胞障害が疑われた。
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