2001 Fiscal Year Annual Research Report
抗原ペプチドの経口投与によるMHC完全不一致心移植片の生着延長の誘導
Project/Area Number |
13671254
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
新見 正則 帝京大学, 医学部, 講師 (80198415)
|
Keywords | 移植 / 免疫寛容 / 経口投与 |
Research Abstract |
CBA(H2^k),C57BL/10(H2^b)またはCBK(H2^k+K^b)マウスを使用した。CBKマウスはCBAマウスにMHCクラスIのひとつであるK^b分子を常時発現させたものである。まず、MHCクラスIのミスマッチとなるCBKからCBAの組み合わせで実験がおこなわれた。CBKマウスの脾細胞(1x10^7)をCBKマウスの心臓移植の1週間前にCBAマウスに経口投与すると著明な移植心の生着延長が得られたが、すべてのグラフトは100日以内に拒絶された。そこで、抗CD4抗体(non-depleting anti-CD4mAb,clone name 177、0.2mg/dose)を併用することでグラフトはすべて100日以上生着した。また、投与された脾細胞はすべて破壊されたのちに、体内に吸収されることが蛍光色素で染色した脾細胞の投与実験で確かめられた。このことは、Indirect pathwayのみが経口投与後には関与していることを示していた。その上、経口投与し、心移植を施されたマウスではK^b分子に対する抗体産生能の低下とK^b特異的な組織傷害性T細胞の分裂の抑制が観察されたことから、Indirect pathwayがDirect pathwayに関わるB細胞とT細胞の反応を抑制したことになる。つぎに、この経口投与の実験をMHCがすべて異なる系(C57BL/10(H2^b)からCBA(H2^k))にて施行したところ、non-depleting anti-CD4抗体の併用下にC57BL/10の脾細胞を経口投与されたCBAマウスはC57BL/10の心臓を永久に受け入れた。その上、non-depleting anti-CD4抗体の併用下にCBKの脾細胞を経口投与されたCBAマウスはC57BL/10の心臓を永久に受け入れた。このことは、MHCクラスIの一種類であるK^bの経口投与がその他のMHCによる拒絶反応を抑制したことを意味する。いわゆるLinked suppressionが生じていると考えられた。
|