2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671255
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
冲永 功太 帝京大学, 医学部, 教授 (00101098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯沼 久恵 帝京大学, 医学部, 助手 (30147102)
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Keywords | 癌ワクチン療法 / 融合細胞 / 樹状細胞 / 消化器癌 / CTL / 抗原提示能 |
Research Abstract |
【目的】樹状細胞(DC)と腫瘍の融合細胞は,未知の腫瘍抗原や複数の腫瘍抗原に対して腫瘍免疫が誘導可能であることから,新たな癌ワクチン療法として注目されている。 我々はヒト末梢血由来DCとヒト消化器癌細胞の融合細胞のワクチンとしての有用性を,in vitro CTL誘導能の点から検討した。さらに学内倫理委員会承認後,進行再発消化器癌患者を対象に,自己のDCと腫瘍細胞を用いた融合細胞ワクチン療法の第I相臨床試験を開始した。【方法】DCは末梢血単核球からGM-CSF, IL-4,TNF-α,IL-1β,IL-6,PGE2を用いて誘導した。細胞融合はPEGとElectrofusionによるtwo step法で行い,融合効率はFACSと共焦点蛍光顕微鏡で確認した。第I相臨床試験においては,DCと腫瘍の融合細胞を2週に1度合計4回,鼠径部リンパ節近傍に接種し,ワクチンの安全性および抗腫瘍免疫の誘導を中心に検討した。【結果】(1)PEGとElectrofusionの併用により融合効率は従来の2倍以上に上昇した。(2)融合細胞表面にDC由来MHC classI, classII, costimulatory分子の発現と腫瘍抗原が確認された。(3)融合細胞の抗原提示能をCTL活性の点から検討したところ,融合細胞で刺激したリンパ球は,ペプタイドパルスDC, DCまたは腫瘍細胞単独刺激群に比べ有意に高い細胞傷害活性を示した。(4)進行再発消化器癌患者6例に本治療を施行した。重篤な副作用は一例も認められなかった。一部の症例に抗腫瘍免疫能の上昇および腫瘍マーカーの低下を認め,現在経過観察中である。【結語】ヒトDCと腫瘍の融合細胞を用いた癌ワクチン療法において,重篤な副作用は認められず安全性が確認された。現在進行・再発消化器癌を対象に第I相臨床試験を継続中である。
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