2001 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌における糖鎖構造変化的解析とその臨床意義を解明する研究
Project/Area Number |
13671286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐 偉 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00313213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幕内 雅敏 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60114641)
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Keywords | 胃癌 / 組織化学 / 複合糖質 / レクチン / 増殖 / 浸潤 / 転移 / 予後 |
Research Abstract |
がん細胞には正常細胞にはない糖鎖が発現していることが知られており、とくにシアル酸はがんの転移に関係していると考えられている。そこで平成13年度、本研究では、胃がんにおける糖鎖構造変化とその臨床的意義を解明する研究の一環として、NeuAcα2, 3Galβ1, 4GlcNAc/Glcを認識するレクチンMaackia amurensis leukoagglutinin(MAL)を用いて、胃がん組織に発現する複合糖質を組織化学的および糖鎖生化学的に比較検討した。 胃がん患者71例より胃の新鮮切除標本を術中採取し、得られた胃のがん部および非がん部粘膜組織をビオチン標識MALで染色した結果、いずれの標本においても染色はがん部だけに認められ、非がん部の染色は血液細胞を除いて全く認められなかった。また、がん部の染色はNeuAcα2, 3Galβ1, 4Glcで阻害された。この結果は、胃がん患者の胃組織においては、MALに認識される糖鎖をもつ複合糖質ががん部特異的に発現していることを示唆している。さらに、胃がん患者71例の胃がん部組織においてMALで染色された細胞の割合(MI ; MAL index)をもとめ、その分布を調べると、80%を頂点とする高MI値のグループと5-10%を頂点とする低MI値のグループに分かれることが判明した。また、予備的ではあるが、高MI値のグループと低MI値のグループにおいて臨床所見を比較検討した結果、高MI値のグループでは胃がんの浸潤や転移が進行している症例が有意に多く、MAL認識複合糖質の高発現が患者の予後と深く関係していることが示唆された。 これまでの一連の研究結果は、MAL認識複合糖質の高発現が胃がんの浸潤や転移において重要な役割を果たしている可能性を強く示唆しており、その糖鎖構造を詳細に解析することの重要性を指摘するものであった。また、本研究の成果は、がん症例の予後や転移予測などへの臨床応用や、特異的な糖鎖をターゲットとする抗がん剤の開発、新しい腫瘍マーカーの発見につながる可能性を十分にもつと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] TANG W, Seino K, Ito M, Konishi T, Makuuchi M(6番目), 他5名: "Requirement of ceramide for adhesion of Heltcobacter pylori to glycosphingolipids"FEBS Letters. 504. 31-35 (2001)
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[Publications] Nakata M, TANG W, Mafune K, Konishi T, 他3名, Makuuchi M: "Prognostic potential of Maackia amurensis leukoagglutinin for histochemical analysis of human gastric cancers"Glycoconjugate Journal. 18(1/2). 102 (2001)
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[Publications] TANG W, Nakata M, Mafune K, Konishi T, 他5名, Makuuchi M: "Histochemical appearance and prognostic significance of Maackia amurensis leukoagglutinin-positive glycoconjugates in human gastric cancer"European Surgical Research. (in press).
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[Publications] Maema A, Hashimoto D, Yokoya S, Shoji M, Makuuchi M: "Spatially Selective Laser Coagulation of the Gastric Wall : A New Methodology"J Surg Res. 103(1). 114-120 (2002)
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[Publications] Makuuchi M, 他3名: "Progress in surgical treatment of hepatocellular carcinoma"Oncology. 62(Suppl 1). 74-81 (2002)
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[Publications] Sugawara Y, Yamamoto J, 他3名, Makuuchi M: "Estimating the prognosis of hepatic resection in patients with metastatic liver tumors from colorectal cancer with special concern for the timing of hepatectomy"Surgery. 129(4. 8-13 (2001)