2002 Fiscal Year Annual Research Report
膵胆道癌におけるリンパ管内皮増殖因子VEGF-Cの発現と役割に関する実験
Project/Area Number |
13671290
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北川 裕久 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (80272970)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 哲生 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (40194170)
|
Keywords | 膵癌 / 胆嚢癌 / リンパ節微小転移 / 郭清 / VEGF-C / 大動脈周囲リンパ節 |
Research Abstract |
臨床面では膵頭部癌と胆嚢癌で、リンパ節転移状況め解析と術中のパテントブルーを使用したセンチネルリンパ節検索を行っている。膵頭部癌ではNo.13がセンチネルリンパ節(SLN)で、そこから左腎静脈周囲の大動静脈間へ流入し、上下に広がっていく。従ってNo.13のSLNの転移の有無でNo.16郭清の適応と範囲を決定すればよいと考えられ、SLN転移(-)なら16a2blintに限り、SLN転移(+)なら16a1a2b1のint,pre,lateroまで広げるべきである。胆嚢癌ではNo.12bcがSLNで、そこからNo.13a,No.8を経てNo.16に至る。従ってNo.12bcのSLNの転移の有無でNo.13a,8の郭清の適応を、さらにNo.13a,8の転移の有無でNo.16郭清の適応と範囲を決定すればよいと考えられ、SLN転移(-)ならD2までの郭清、SLN転移(+)ならNo.13aを確実に郭清するためPDを付加する。No.16の予防的郭清範囲は、No.13a,8の転移(-)なら16a2b1intに限り、転移(+)なら16a1a2b1のint,pre,lateroまで郭清を広げるべきとの結論を得た。また胆嚢癌のリンパ節微小転移を摘出リンパ節の全割を作成して検索している。一個のリンパ節について平均70切片程度が得られ、今までのところNo.16に新たに転移が1例で見つかっている。その症例はNo.12bc、13a転移陽性で、上記の転移経路に合致しており、予防的No.16郭清の理論的裏付けとなる。基礎では、膵癌におけるリンパ管内皮増殖因子VEGF-Cの発現を免疫組織学的に調べ、臨床病理学的因子との関連について外科切除が行われた膵癌症例より無作為に抽出した51例を対象として検討した。51例中31例(61%)にVEGF-Cが発現陽性で、陽性群では陰性群に比べて有意にリンパ節転移(n)が多くみられた(p=0.0003)。また両群間で生存率に有意な差がみられた(p=0.018)。以上VEGF-Cが膵癌のリンパ節転移及び局所浸潤に深く関わっていることより、膵癌の生物学的悪性度を示す指標となる可能性が示唆された。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 北川裕久, 太田哲生, 萱原正都, 三輪晃一, 他: "進行胆嚢癌に対する拡大リンパ節郭清の適応と意義"外科. 65・4. (2003)
-
[Publications] 太田哲生, 三輪晃一, 北川裕久, 他: "膵癌に対するセンチネルリンパ節生検に基づく手術"手術. 56・1. 39-45 (2002)
-
[Publications] 北川裕久, 太田哲生, 三輪晃一: "進行胆嚢癌におけるSentinel node navigation surgery-大動脈周囲リンパ節郭清の適応と範囲を中心に-"胆道. 15・3. 201 (2001)
-
[Publications] 北川裕久, 太田哲生, 萱原正都, 三輪晃一, 他: "胆嚢癌におけるSentinel node navigation surgery"日本外科学会雑誌. 102・臨時増刊号. 134 (2001)
-
[Publications] Kayahara, M., Nagakawa, T., Ohta, T., Kitagawa, H., 他: "Role of nodal involvement and the periductal soft-tissue margin in middle and distal bile duct cancer"Annals of Surgery. 229・1. 76-83 (1999)
-
[Publications] Kayahara, M., Nagakawa, T., Ohta, T., Kitagawa, H., 他: "Analysis of paraaortic lymph node involvement in pancreatic carcinoma -A significant indication for surgery?"Cancer. 85・3. 573-590 (1999)
-
[Publications] 太田哲生, 北川裕久, 三輪晃一: "Sentinel Node Navigation-癌治療への新しい展開-膵癌におけるSNNSの実際(色素法)"金原出版株式会社 北島正樹、久保敦司編. 296 (2002)