2003 Fiscal Year Annual Research Report
担癌生体における内分泌環境の変化と全身状態、予後の関連性についての研究
Project/Area Number |
13671321
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
利野 靖 横浜市立大学, 医学部附属病院, 講師 (50254206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 敏夫 横浜市立大学, 医学部附属病院, 教授 (50168514)
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Keywords | 担癌 / 内分泌環境 / 予後 / 胃癌 / 食道癌 |
Research Abstract |
Thyrotropin-releasing hormone(TRH)負荷試験において正常者では成長ホルモン(GH)は反応しないが、TRH負荷試験でGHが上昇するparadoxical response(PR)と呼ばれる反応が肝不全、腎不全、末端肥大症、下垂体腫瘍、頭部外傷、鬱病、拒食症、分裂病、てんかん、polycystic ovarian syndrome、妊娠でみられることが報告されてきている。また担癌状態でもこの反応がみられることが報告されている。この点に注目し、われわれは胃癌症例で胃癌のstageとPRの発現の関連性、またPRの有無は予後に関与するかを検討したので報告する。 【対象・方法】胃癌患者92例(男/女 67/25、平均年齢61.4歳)を対象とし、TRH負荷試験をおこなった。TRH負荷試験はTRH投与前、15分後、30分後、45分後、60分後、120分後に採血し、radioimmunoassay法で血中GH濃度を測定した。TRH負荷後、GHの血中濃度が負荷前の2倍かつ5ng/ml以上上昇したものをPR陽性、この条件を満たさないものをPR陰性と定義した。(1)stage別にPRの発現率、(2)stageIV胃癌の治療成績をPRの陽性、陰性で比較検討し、(3)治療後にPRが陰性となった症例をPR陰性の群に入れ治療成績を再検討した。肝不全、腎不全、内分泌疾患、精神疾患を合併した症例は今回の研究の対象から除外した。また高齢者において下垂体機能の低下がみられるとの報告もあり、75歳以上の患者は除外した。 【結果】胃癌症例;(1)stage別ではstageI、stageIII、stageIVの順にPRの発現率が有意に増加した。stageIIの症例は2例のみであったため今回の検討からはずすこととした。(2)stageIVの中でPR陽性の症例は陰性例に比し、治療成績が不良であった(p=0.163)。(3)stageIVのPR陽性の症例で治療後、PRが陰性となった症例が2例みられた。陰性化した症例を陰性の群に加えた治療成績をみるとPR陽性の群の治療成績は有意差をもって不良であった(p=0.042)。 PRと他のサイトカインの影響や神経免疫内分泌系からみて免疫系との関係も検討したが現在までに有急な関係を持つ因子は見つけることはできなかった。今後の検討を要する。
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