Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 紘 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90117747)
渡会 伸治 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (10244477)
関戸 仁 横浜市立大学, 医学部, 講師 (90187849)
岡崎 康司 理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター(研究職), チームリーダー (80280733)
林崎 良英 理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター(研究職), プロジェクトディレクター (70192705)
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Research Abstract |
【目的】Prostaglandin E1(以下PGE1)は細胞保護作用,血管拡張作用,血小板凝集抑制,IL-1やTNF-αなどの炎症性サイトカイン産生抑制などの作用があり,虚血病変の細胞障害進展抑制に働くと考えられている。そこでマウス肝部分温虚血再灌流モデルを作成し,cDNA microarrayを用いて肝の遺伝子発現プロファイルを調べ,PGE1の虚血再灌流障害に及ぼす効果と機序を検討した。【対象と方法】C57BL/6J,8週齢,雄マウスを用い70%肝部分温虚血再灌流モデルを作成。虚血15分前から頚静脈より3μg/kg/minのPGE_1を持続注入(PGE1群),30分間虚血後,再灌流した。同量の生理食塩水を持続注入した群(NS群)と比較した。両群に対して5分間開腹操作のみをsham群とした。再灌流後,経時的に採血し,肝組織を採取。生化学検査;AST, ALT, T.Bil, LDH, ALP,ヒアルロン酸を測定。肝組織よりmRNAを抽出し,RIKEN mouse 20K microarrayを用いて二蛍光標識法でシグナルを検出し各々のmRNA発現を比較検討した。【結果】血液生化学検査:再灌流後180分でのALT, ASTの上昇はNS群と比較してPGE1群で有意に抑制された(P<0.05)。T.Bil, LDH, ALP,ヒアルロン酸は有意差なし。cDNA microarray:2万1千個の遺伝子のうち再灌流後0,10,30分の3つポイントすべてで相関が良く,信頼できる遺伝子は7859個検出できた。うちPGE1群で2倍以上の高発現,1/2以下の低発現であった遺伝子は160個であり,これらをstanfordのソフトを用いて解析した。再還流後0分でHSP86,HSP70,GRP78,glutathione S-transferaseの高発現を認めた。再灌流後10分でcatalase, ATP synthase, apoptosis inhibitor, scavenger receptorが高発現していた。【結語】PGE1の細胞保護効果の機序として,HSPを初めとするシャペロン蛋白の誘導と細胞内の酸化還元状態の安定化,アポトーシスの抑制によって細胞を保護していると思われ,PGE1はpharmacological preconditioning効果を有する。【進行状況】microarrayでの結果から高発現した遺伝子をRT-PCRで確認しようとしている状況であり、また免疫染色を用いての確認も考慮しているが遺伝子レベルで高発現しているものが蛋白レベルでも確認できるかを検討中である。
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