2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671324
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
永野 靖彦 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 助手 (00332940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡会 伸治 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (10244477)
嶋田 紘 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90117747)
林崎 良英 理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター, プロジェクトディレクター (70192705)
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Keywords | 肝再生 / 門脈塞栓術 / DNAチップ |
Research Abstract |
【目的】門脈結紮術は許容肝切除量を増大させるか、また過大肝切除に対して門脈結紮術後の腫大した非塞栓葉は同じ容積の正常肝に此べ機能的に有利であるかを検討した。 【方法】Wistar系雄性ラットを用い、2つの90%肝切除群を作成した。Portal vein ligation(PL)群:初回手術として左葉、正中葉の70%門脈結紮術を施行後4日目に尾状葉後葉(5%)が2倍(10%)に腫大した時点で、後葉のみ温存する90%肝切除(10%の腫大残肝)を施行した。Sham群:sham手術施行後4日目に90%肝切除(10%正常残肝)を施行した。両群で以下の検討をおこなった。1)術後生存率、肝再生率、2)肝組織PCNA labeling index、3)生化学検査、血清サイトカイン値(IL-6)、4)遺伝子発現プロファイル:肝組織より抽出したmRNAをそれぞれ異なる蛍光(Cy3、Cy5)で標識したcDNAを合成して、cDNA chip(RIKEN mouse 20K array)にハイブリダイズさせ、遺伝子発現を検出し、アポトーシス,サイトカイン、代謝、蛋白合成能、細胞増殖能関連遺伝子を比較した。 【結果】1)肝切除後96時間生存率は、PVL群はsham群と比べて良好であった(56.3% v.s. 26.7%, p<0.05)。肝再生率は肝切除後24時間までPL群の方が良好であった。2)PCNA labeling indexは24時間までPL群が高値であった(20% v.s. 0%, p<0.05)。3)PL群はT.Bil,、IL-6は有意に低値であった(p<0.05)。4)PL群でsham群に比較して2倍以上発現していた遺伝子は、代謝系酵素(とくにP-450,cytochrome-c mRNAなどの電子伝達系酵素や糖、脂質代謝酵素)、蛋白合成(アルブミンmRNA)、細胞増殖関連遺伝子(cyclin D1,cyslinG1,PCNA m-RNA)であり、逆にsham群で2倍以上発現していたものはIL-6mRNAであった。 【結論】門脈結紮術後の腫大肝は過大肝切除に対し手術時から再生が既に始まりエネルギー合成能も亢進していることから、許容肝切除量を増大させ、しかも同容量の正常肝より機能的にも有利であると考えられた。
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