2002 Fiscal Year Annual Research Report
散発性大腸癌における癌関連遺伝子の不活化機構の解明
Project/Area Number |
13671348
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Research Institution | TOHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有田 通恒 東邦大学, 医学部, 助手 (80307719)
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Keywords | ミスマッチ修復遺伝子 / hMLH1遺伝子 / hMSH2遺伝子 / histone / アセチル化 / 転写因子 / 大腸癌 / 細胞株 |
Research Abstract |
消化器癌、特に大腸癌の発癌機構には多くのがん遺伝子やがん抑制遺伝子の異常の累積が重要な役割を演じている。遺伝子異常の蓄積を誘発する機構の1つとしてDNA mismatch repair(MMR)systemの欠損が知られており、ヒトMMR遺伝子はこれまでにhMLH1やhMSH2など7種が報告されている。これらのうち、HNPCCやMSIを示す散発性大腸がんではhMSH2遺伝子とhMLH1遺伝子の異常が大半を占める。現在まで、散発住消化器癌でのhMLH1遺伝子の不活性化機構としてpromoter領域のmethylation修飾(epigenetic modification>が関与していることが報告されている。しかしながら、我々は、遺伝子変異やmethylatiionがないにもかかわらず、タンパク発現のない症例を経験し、その原因究明に興味が持たれた。不研究ではhMLH1及びhMSH2遺伝子の発現抑制機構の解明およびhMLH1遺伝子の転写調節機構の解明の2点に重点を置いて研究を行った。前年度までにhistoneのアセチル化とpromoter領域のhypermethylationとの関係や発現抑制との関連を示す明瞭な研究結果を得られなかったため、本年度はhistoneアセチル化と発現増強についての検討および転写調節因子の同定を主目的として研究を行った。 脱アセチル化阻害薬で処理したヒト大腸癌由来細胞株での実験から、histoneアセチル化時には遺伝子発現が増強していることが強く示唆する結果を得た。また、転写制御因子の候補として1番染色体(1p31-32)に存在するp29遺伝子を同定した。本領域は大腸癌等でLOHが高頻度で起こっていることが知られており、発癌との関係に興味を抱かせた。p29タンパクの転写調節への関与の詳細やepigenetic mutationとの関係は今後の検討課題である。以上より、本研究の最終目標であるMMR遺伝子発現抑制機構の解明は部分的な進展に留まった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Iwasaki I: "Establishment of cisplatin-resistant variants of human neuroblastoma cell lines, TGW and GOTO, and their drug cross-resistance profiles"Cancer Chemother Pharmacol. 49・6. 438-444 (2002)
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[Publications] Sugiyama H: "Differential inducibility of p53 downstream genes in human neuroblastoma cell lines"J Med Soc Toho. 50・1. 13-23 (2003)
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[Publications] Arita M: "Multiple sites required for expression in 5'-flanking region of the hMLH1 gene"Gene. 306C・1. 57-65 (2003)
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[Publications] Yamada K: "Oncogenic pathway of sporadic colorectal cancer with novel germline missense mutations in the hMSH2 gene"Oncol Rep. (in press). (2003)
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[Publications] 逸見仁道: "遺伝子異常:MSI症例を中心に"日本臨床. (印刷中). (2003)