2003 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎とクローン病における各種サイトカインとエンドセリン産生反応について
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13671360
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Research Institution | KAWASAKI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
角田 司 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00110841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦上 淳 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70319979)
平井 敏弘 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (60165149)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎(UC) / Crohn病(CD) / 血管内皮細胞増殖因子(VEGF) / 線維芽細胞増殖因子(b-FGF) / 形質転換増殖因子(TGF) / 血管炎 / 腸管虚血 |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎(UC)活動期患者の3例とクローン病(CD)活動期患者の3例の切除標本,およびコントロールとして10例の大腸癌患者の手術で切除した小腸・大腸の組織標本を用いて免疫組織学的にVEGF,b-FGF,TGF-β_1,TGF-β_2,TGF-β_3のサイトカインの発現を観察した。なお,染色態度の程度を陰性,軽度,中等度,強度の4段階に分類して比較した。 【結果】コントロールの大腸癌患者の癌以外の小腸・大腸組織では,VEGF,b-FGF,TGF-β_<1,2,3>のいずれも全例で染色されなかった。しかし,活動期UC3例の全例で,また,活動期CD3例の全例で粘膜下組織に血管の増生がみられ,VEGFとb-FGFは特に血管壁のendothelial cellに強度に染色された。なお,UCとCDの患者間にはVEGFとb-FGFの染色態度に有意差はなかった。しかしながら,UCとCD患者の炎症細胞の周囲においては,VEGF又はb-FGFの発現はみられなかった。TGF-β_1の発現は,UC患者とCD患者の全例においてみられなかった。TGF-β_2とTGF-β_3の染色をみると,中等度の発現は活動期UCにはみられず、活動期CDの3例中1例の炎症性細胞にみられた。なお,活動期UC2例の炎症性細胞には軽度の発現がみられたが,1例には発現が認められなかった。一方,活動期CDの1例においては,TGF-β_2とTgF-β_3の発現は軽度で,1例においては全く発現はみられなかった。なお,UCとCDの患者間にはTGF-β_2とTGF-β_3の染色態度に有意差はなかった。 【結論】免疫組織学的にVEGFとb-FGFが活動期UCとCDの全例に強度に染色された所見は,本症例において血管収縮を介して腸管虚血がもたらされることを意味し,UCとCDなどの炎症性腸疾患の成立には血管炎が病因として関与しているものと考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hideaki Ueno, Toshihiro Hirai, et al.: "Prediction of lymph node metastasis by p53,p21waf1, and PCNA expression in esophageal cancer patients"J Exp Clin Cancer Res. 22. 239-245 (2003)
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[Publications] 宮原栄治, 平井敏弘, 他: "感染を契機に発見され、胸腔鏡補助下に切除した先天性気管支のう胞の1例"日呼吸器外科会誌. 17. 25-29 (2003)
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[Publications] 清水克彦, 平井敏弘, 他: "開腹法の違いによる胃癌術後イレウスの発生頻度に関する検討"日臨外会誌. 64・4. 801-804 (2003)
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[Publications] 三上佳子, 浦上 淳, 角田 司, 他: "進行・再発大腸癌に対する高用量レボホリナート/フルオロウラシル(LV/5-FU)併用療法の検討"川崎医会誌. 29・2. 99-104 (2003)
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[Publications] 岡 保夫, 浦上 淳, 角田 司, 他: "肝転移に対し3回の肝切除を施行し、長期生存を得たZollinger-Ellison症候群の1例"日臨外会誌. 64・12. 3152-3157 (2003)
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[Publications] 藤田 穣, 角田 司, 他: "便潜血検査を契機に発見された下行結腸海綿状血管腫の1例"臨牀消化器内科. 19・1. 135-140 (2003)
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[Publications] Kazuki Yamashita, Tsukasa Tsunoda: "Three-dimensional computer images of Morgagni hernia"Am J Surg. 187. 109-110 (2004)