2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞局所への繊維化抑制遺伝子導入による急性肺障害の新しい治療
Project/Area Number |
13671378
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
名村 理 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (60313516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 正則 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (60293221)
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Keywords | 軽気道的遺伝子導入 / 繊維化抑制遺伝子 / 急性肺障害 |
Research Abstract |
本研究では初めにプラスミドDNAをネブライザー、人工呼吸器を用いて経気道的に導入できるか否かを検討した。ラットを気管切開し人工呼吸器に接続、マーカー遺伝子のpCAGGS-luciferazeを250μg(総量500μl)気道より投与し、一回換気量(TV=10、30、40ml/kg)、PEEP(P=0、5、10、20cmH20)、換気回数(f=20、40、60、90回/分)、人工呼吸時間(T=0.5、2、5、10分)を設定し人工呼吸換気を行った。24時間後に肺を摘出しルミノメーターを使用してluciferaseを定量した結果、pCAGGS-luciferazeを気道投与し人工呼吸器換気を行わなかった群は1, 180±705RUL/100μgprotainであるのに対して、人工呼吸換気を行った群(TV=30ml/kg、PEEP=10cmH20、f=60回/分>では1, 1721, 438±745, 507RUL/100μgProtainと発現量は著しく増加した。また、遺伝子が導入された局在を評価するためにpCAGGS-lacZを同条件下に気道内投与しX-gal染色を行ったところ、散在性に肺胞上皮細胞が強陽性に染色された。 次に繊維化抑制遺伝子を導入することで急性肺障害が抑制されるか否かを検討した。ブレオマイシンを気道内投与し、肺の繊維化モデルを作製した。2週間後の組織像では、肺胞間質の繊維化と細胞浸潤が確認され、また、肺障害の影響と考えられるラットの体重減少および体重増加不良を認めた。このモデルに対して繊維化を抑制するHepatocyte growth factor(HGF)遺伝子を上記の方法で導入し、組織像、体重の変化を指標にその効果を検討した。その結果HGF遺伝子を投与した群、投与しなかった群での組織像、体重の変化に有為差は認められなかった。また、肺障害モデルに対して人工呼吸換気を行うと死亡率が高くなった。今後、人工呼吸換気の条件、遺伝子導入の至適時期を検討、評価していく必要がある。また、HGF以外の遺伝子の導入とその効果についても確認を予定している。
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