2002 Fiscal Year Annual Research Report
肺移植後拒絶反応に対する新しいアプローチ-Chemokine(RANTES)による拒絶反応抑制の試み
Project/Area Number |
13671407
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
河野 貴文 東京医科大学, 医学部, 助手 (70317858)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 治文 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074768)
林 和 東京医科大学, 医学部, 助手 (60343513)
梶原 直央 東京医科大学, 医学部, 助手 (70343514)
|
Keywords | 肺移植 / 免疫拒絶反応 / RANTES / ケモカイン / transmigration / 虚血再潅流障害 |
Research Abstract |
炎症性細胞の循環動態解析は肺移植後の免疫拒絶反応を探究する上で重要であり、その中でも特にRANTESは炎症時における気道上皮細胞及び免疫細胞自身から分泌されることで、病変部への免疫細胞の集積を導きtransmigrationに重要な役割を担っている事が現在までに報告されている。本実験では免疫細胞に対して強い遊走活性を有するRANTES活性を制御することで免疫細胞循環を抑制し肺移植後拒絶反応(虚血-再潅流障害)に対する新しい治療のアプローチを試みた。 前年度までに同種異系肺移植群でのRANTES活性を制御することによる肺移植後拒絶反応抑制効果の検討を試みたが、移植後長期生存を得ることが出来ず経時的観察が不能であったため、実験系をまずRANTESによる虚血再潅流障害の抑制効果の検討から行うに至った。 【現在までの実績】 体重250-300gのlewis ratを用い、左肺の虚血再潅流モデルを作成。これを基に、温阻血前に抗RANTES抗体投与群を作成し病理組織学、免疫組織化学染色、各種気管支肺胞洗浄液内サイトカイン分析について検討した。 結果 1病理組織学的所見 未処置群および抗RANTES抗体虚血3時間前投与群では再潅流障害に見られる炎症性細胞の浸潤、血管内皮の腫脹は殆ど認められなかった。 2免疫組織化学的所見 炎症反応の指標としてRANTES、ICAM1、IL1-b、TNFaについて検討したところ、未処置群および抗RANTES抗体虚血3時間前投与群では発現が軽度であったが、温阻血後再潅流群では顕著な発現が認められた。 3気管支肺胞洗浄分析 上記2の各成分につきELISA法にて肺胞洗浄液中濃度を測定したところ抗RANTES抗体虚血3時間前投与群は温阻血後再潅流群に比し有意に低かった。 まとめ 抗RANTES抗体投与により肺移植後の虚血再潅流障害は抑制される可能性が示唆された。
|