Research Abstract |
1.硬膜動静脈瘻症例の血漿における血管新生因子の測定 硬膜動静脈瘻10症例(横・S状静脈洞,上矢状静脈洞,頭蓋頚椎移行部)の末梢血液,静脈洞血液サンプル(16検体)において各種血管新生因子(VEGF, bFGF, PDGF-AB, PDGF-BB)の濃度をELISA法により測定した。VEGF, bFGFについては高濃度を示した検体はなかった。PDGF-ABは4検体が,PDGF-BBは7検体が高濃度を示した。 2.人正常硬膜静脈洞標本における血管新生因子レセプターの免疫組織染色 正常・人硬膜静脈洞標本(死体標本)の上矢状静脈洞部,横・S状静脈洞,静脈洞交会部において,それぞれの切片を作成した。各切片において静脈洞内の肉眼的組織所見を観察することにより,人正常硬膜の構造的variationを評価,確認した。同様の標本における組織所見の検索については,標本の細胞構造の破壊が高度であったため,各種血管新生因子の染色は不能であった。 3.硬膜動静脈瘻症例における血管新生因子レセプターの免疫組織染色 上矢状静脈洞部,前頭蓋底部,上矢状静脈洞部に発生した硬膜動静脈瘻の病理標本(罹患静脈洞)につき,それぞれ連続切片のHE染色,各種血管新生因子レセプター(VEGFR-1〜3,FGFR-1〜2,FGFR-4,PDGFR, Tie-2)の免疫染色を行った。VEGFR-1,3は硬膜内の毛細血管内皮に,VEGFR-2は静脈洞内皮に陽性。bFGFR-1は静脈洞内皮,硬膜内の毛細血管内皮のいずれも,またbFGFR-2は静脈洞内皮に陽性。PDGFR-A, Bはいずれも硬膜内の毛細血管内皮に陽性。Tie2は静脈洞内皮に陽性であった。 4.硬膜動静脈瘻症例における抗クラミジア抗体の血清学的検出 硬膜動静脈瘻8症例(横・S状静脈洞,海綿静脈洞)における血清中の抗クラミジア抗体(IgG, IgA)を測定した結果,8検体中4検体が陽性を示した。この陽性率はコントロール群(健常人100例)と差がなかった。
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