2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13671427
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Research Institution | University of Yamanashi (Faculty of Medicine) |
Principal Investigator |
佐藤 英治 山梨大学, 医学部, 助手 (10235319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長沼 博文 山梨大学, 医学部, 助教授 (90189142)
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Keywords | 悪性グリオーマ / interferon-β / transporter with associated with antigen processing |
Research Abstract |
【背景及び目的】悪性グリオーマが自己抗原を細胞障害性T細胞に有効に提示しているかという問題は、腫瘍ワクチン療法等の免疫療法の成立に重大な影響を与える。自己抗原を提示する過程に必要な分子であるtransporter associated with antigen processing(TAP)分子は細胞内自己抗原蛋白を粗面小胞体内に輸送させる。前回の報告で悪性グリオーマ細胞ではこのTAP分子の発現が低下しておりINF-γ,βはその発現を増加させることを示した。今回、IFNの作用するTAP1 promoter領域の遺伝子異常の有無がIFNのTAP1分子発現増加作用に影響を及ぼすかどうかについて検討した。【方法】8種の悪性グリオーマ細胞株からPCR法により得られたTAP1promoter領域DNAのシークエンスをダイオキシ法にて検討した。Northern, western blot法にてIFNのTAP1分子のmRNA,蛋白レベルでの発現に与える影響を検討した。【結果】TAP1promoter領域のシークエンス解析では6種にTAP1翻訳開始部位から446番上流にGからTへの1塩基多型を認め、1種で34番上流にGからAへのmutationを認めた。wild typeは1種のみであった。遺伝子多型、mutationの存在した部位はTAP1 promoter領域の中でIFNが作用す部位とは異なっていた。TAP1分子の発現はmRNA,蛋白ともに通常の状態ではその発現は微量であったが、IFN-γ, β処置にて増加した。このIFNの作用はTAP1 promoter領域の遺伝子多型、mutationの有無に関係せず全てのグリオーマ細胞株で確認された。【結語】悪性グリオーマ細胞においてTAP1分子の発現は通常の状態では低下しおり、抗原提示能も低下している可能性があるTAP1promoter領域に高率に遺伝子多型が存在したが、この遺伝子多型の有無はIFNのTAP1分子発現の増加作用に影響を及ぼしていなかった。IFN-βは悪性グリオーマの治療に使用されている薬剤であるが、腫瘍自身の抗原提不能を増加させる可能性があり、腫瘍ワクチン治療時の併用薬として有用である可能性が示唆された。
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