2002 Fiscal Year Annual Research Report
膠芽腫に対する安全な放射線誘導性自殺遺伝子治療臨床応用法の開発
Project/Area Number |
13671443
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
徳永 能治 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (00207557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 俊一 長崎大学, 医学部, 教授 (30200679)
出雲 剛 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (40343347)
大津留 晶 長崎大学, 医学部, 助手 (00233198)
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Keywords | 膠芽腫 / 放射線照射 / 自殺遺伝子治療 / cre-loxP / HSV-TK / 放射線誘導性 |
Research Abstract |
予後不良の膠芽腫への新たな治療戦略として、遺伝子治療の臨床治験が本邦においても開始されたが、米国での死亡例の発生等の副作用の問題が生じてきた。本治療の更なる進歩の為には遺伝子を病変特異的・高効率に発現させるベクターの開発が必須であり、我々は膠芽腫に対し放射線誘導性プロモーターによる自殺遺伝子療法の応用を検討した。ラット膠芽腫細胞株であるC6を用い、自殺遺伝子としてHSV-TKを、放射線誘導性プロモーターとしてEgr-1プロモーター用いた導入プラスミドDNA作製を行った。HSV-TK発現にはCMVプロモーターを用い、cre-loxP systemにて両者を結びつけた。遺伝子導入法として、HVJ-リポソームを用いた手技を確立した。1. in Vitro自殺遺伝子療法;コントロール遺伝子導入・自殺遺伝子導入・放射線照射・GCV投与の組み合わせにて数群に分けin vitroでの自殺遺伝子療法の効果を検討した。レポーター遺伝子解析であるルシフェラーゼアッセイによると、本システムにて導入した群において最も高い活性値を示すことができたが、実験結果には不安定性も確認された。この結果、自殺遺伝子治療においても本システムにおける若干の抗腫瘍効果の改善を認めるものの、他群に比して有意な改善を示すには至らなかった。これは本システムが二つのベクターを利用するという複雑性から生じるものと考察された。2.in Vivo自殺遺伝子療法;脳内に接種したC6に対してin vivoでの自殺遺伝子療法をコントロール遺伝子導入群・自殺遺伝子療法群・放射線照射群・自殺遺伝子療法及び放射線照射併用群に分けて行い検討した。本システムによる治療を含めて、有意な治療予後改善を示しうる治療法を見いだすことは出来なかった。この結果はin vitroにおける実験結果を支持するものであると考える。今回の検討では有意な治療効果改善を示し得ず、このシステムの複雑性によるものと考え、一つのベクターにて活性強化が可能である他のシステムの開発に着手している。
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