2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性グリオーマに対するリンパ球指向性ケモカインカクテル療法の開発
Project/Area Number |
13671451
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
竹島 秀雄 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (70244134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 宏文 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (00264416)
倉津 純一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20145296)
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Keywords | ケモカイン / グリオーマ / LARC / TARC |
Research Abstract |
ヒト悪性グリオーマ細胞は、単球遊走因子(MCP-1)を高レベルに発現し、その結果腫瘍組織中に多数のマクロファージの浸潤をきたす。一方、その数はマクロファージに比べて少ないが、リンパ球の浸潤もしばしば腫瘍組織中に認められる所見である。最近、MCP-1と同じCCケモカインに属しながら、単球に対する遊走活性を持たず、それぞれに特異的なリンパ球分画を遊走させる新たな分子群が同定された。これら分子群のグリオーマ細胞における発現の有無および腫瘍免疫における意義を明らかにし、治療に応用することを目的として、まずグリオーマにおける各分子の発現パターンについて解析した。 ヒト悪性グリオーマ細胞12株(NP-1,NP-2,NP-3,U-87MG, U-105MG, U-138MG, U-251MG, U-373MG, SF126,SF188,RBR17T, TG98G)よりtotal RNAを抽出した。10μgを電気泳動し、Northern blotによりリンパ球特異的CCキモカインcDNA(LARC, PARC, TARC, ELC, SLC)をプローブとしてmRNAの発現パターンを検討したところ、これらケモカインの発現レベルは一般的に低く、Northen blotではほとんど検出限界以下であった。その中で、T cellおよびB cellを遊走させ、これまでは肝臓特異的に発現するとされていたLARC(Liver and Activation-Regulated Chemokine)が高発現を示していた。また、その発現は報告されているように、Phorbol esterで強く刺激された。 MCP-1と比較してリンパ球特異的CCケモカインの発現レベルが低いことは、グリオーマ組織中にマクロファージに比べリンパ球の浸潤が一般的に少ない事実と一致しているものと考えられる。また、このことはグリオーマにおいて多数のマクロファージの動員があるにも関わらず腫瘍免疫成立の不完全さに繋がる可能性があり、リンパ球特異的CCケモカインを外的に導入することで、より強い腫瘍免疫が得られる可能性が示唆される。現在、組織における各分子の発現とリンパ球の浸潤やサブセットとの関係を検討している。
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[Publications] Tanioka, K. et al.: "Biological role of thymidine phosphorylase in human astrocytic tumors"Oncology Rep. 8. 491-496 (2001)
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[Publications] Kino, T. et al.: "Identification of the cis-acting region in the NF2 gene promoter as a potential target for mutation and methylation-dependent silencing in schwannoma"Genes Cells. 6. 441-454 (2001)
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[Publications] Tamura, T. et al.: "Intratumoral delivery of interleukin 12 expression plasmids with in vivo electroporation is effective for colon and renal cancer"Hum Gene Ther. 12. 1265-1276 (2001)
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[Publications] Yamahata H, et al.: "The role of thrombin neo-vascularization of malignant gliomas : An intrinsic modulator for the up-regulation of vascular endothelial growth factor"Int J Oncol. (in press). (2002)