2002 Fiscal Year Annual Research Report
悪性グリオーマにおけるTRAIL・抗癌剤併用による細胞死の分子機構の解明
Project/Area Number |
13671463
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
永根 基雄 杏林大学, 医学部, 講師 (60327468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 勇 杏林大学, 医学部, 教授 (20186927)
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Keywords | TRAIL / DNA damage / Radiation therapy / Glioma / Apoptosis / DR5 / Caspase / Chemotherapy |
Research Abstract |
TRAILとDNA損傷型抗癌剤治療により相乗的細胞死がglioma細胞に誘導されたことから,Glioma治療に標準的に使用され,DNA損傷を誘発する放射線治療とTRAILの併用効果を,ヒトglioma細胞株にて検討した.この併用療法によりT98G, U251, SF188, LN428の各glioma細胞株にて相乗的或いは相加的殺細胞効果が認められた.一方,P53正常型のU87, U178では併用効果は認められなかった.併用効果がみられた細胞株でばX線照射10GyによりTRAIL receptorのDR5蛋白発現が誘導され,TRAIL-DR5結合を中和するDR5Fcの添加により併用効果は抑制されたことから,X線照射によるDR5発現誘導が併用効果に重要であることが示された.併用効果のみられたT98細胞では,DISC形成に関与するadaptor分子FADD及びinitiator caspaseのcaspase-8を阻害するとそれぞれ併用治療の相乗効果が抑制された.本併用療法ではeffector caspaseのcaspase-3の活性化に加えて,BIDの切断及びミトコンドリアからのcytochrome c及びAIFの細胞質内への放出が増強され,Bcl-XLの強制発現により細胞死が著明に抑制されたことから,ミトコンドリア傷害を介する細胞死実行経路の関与も示唆された.p53が野生型でTRAIL/X線照射の併用治療に耐性を示したU87細胞にp53のdominant negative DDを導入した細胞を樹立したが,本治療への感受性化は認められず,p53機能は本併用療法感受性に関与しないことが示唆された.ヒト正常astrocyteへの併用治療効果は認められなかった.アポトーシスに関与する転写因子NF-kB機能は,TRAlL或いはTRAlL/DNA損傷型抗癌剤治療に対しては明らかな関与は認められなかった.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 永根基雄, 齋藤勇: "悪性神経膠腫に対するdeath receptor pathwayによる治療"Neuro-Oncology. 12・1. 33-42 (2002)
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[Publications] Narita, Y., Nagane, M., et al.: "Mutant Epidermal Growth Factor Receptor signaling down-regulates p27 through activation of the Phosphatidylinositol 3-kinase/Akt pathway in Glioblastomas"Cancer Research. 62. 6764-6769 (2002)
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[Publications] 永根基雄, 小林啓一, 塩川芳昭, 藤岡保範, 齋藤勇: "杏林大学におけるlow grade astrocytomaの治療"Neuro-Oncology. 11・2. 57-63 (2002)
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[Publications] 永根基雄, 山口竜一, 水谷徹 他: "薬剤耐性関連遺伝子の蛋白発現量によるグリオーマの個別化化学療法の試み"ポストシークエンス時代における脳腫瘍の研究と治療,九州大学出版. 375-382 (2002)