2002 Fiscal Year Annual Research Report
側頭葉てんかん発現における内嗅領海馬神経回路の役割についての研究
Project/Area Number |
13671473
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
長尾 建樹 東邦大学, 医学部, 講師 (20167555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 利之 東邦大学, 医学部, 助手
柴田 家門 東邦大学, 医学部, 教授 (70057545)
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Keywords | 海馬 / 内嗅領 / 切片 / てんかん |
Research Abstract |
近年、側頭葉てんかんにおいて、海馬とともに形成される神経回路が発作発現に重要な役割を演じていると考えられてきている。従来、てんかんの基礎研究ではラット海馬切片での海馬内における生理学的実験が主流であったが、より生体に近い病態を再現するため内嗅領を含んだ海馬の拡大切片の開発が必要となってきた。これにより、従来の海馬切片の研究では明らかにできなかった内嗅領のてんかん原性と内嗅領から海馬へ入力された興奮の海馬内でのモジュレーションの解明が可能となり、臨床分野における効果的なてんかん治療法の開発に資するものと考え本研究を計画した。本年度における研究実績を以下に示す。 前年度までに完成した、成人ラット脳から同一平面上に神経回路を保ったままの海馬内嗅領切片を使用してけいれん誘発物質であり、かつ、けいれん抑制に働くGABA介在神経をも賦活するアミノピリジンを内嗅領海馬切片上に投与して、皮質、海馬歯状回、海馬CA3、海馬CA1、海馬支脚の5ヶ所より電位を同時記録し発作波およびGABA介在神経から生じる電位の発現様式を検討し、内嗅領海馬神経回路内での興奮と抑制の状態およびその伝播様式を検討した。アミノピリジンにより誘発されたてんかん発作波は内嗅領を発生原とする持続時間の長い海馬へ貫通線維を介して伝播されるictal dischargeと、海馬内で発生している持続時間の短いinterictal dischargeの2種類がみられ、ictal dischargeはNMDA受容体アンタゴニストにより完全に抑制された。ncm-NMDA受容体アンタゴニストは、さらにinterictal dischargeも抑制した。内嗅領海馬において発作波は、興奮性アミノ酸をmediatorとして伝播しており、また内嗅領の強いてんかん原性が明らかとなり、側頭葉てんかん発作の発生原として重要な部位であることが示された
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